2022年観劇21本目:Kimberly Akimbo

11/11/2022 Sat 2pm
Kimberly Akimbo
Booth Theatre
AA105 $45 (Lottery)

オフの頃からとても評判の良かったこの作品。
ロトに当たって、最前列で見てきました。

人よりも早く、体が年齢を重ねてしまう病気のKimと、
その家族、学校の友人たちとの日常を描いたもの。
この病気だと16歳以降も生きられる可能性が低い、とセリフでも出てくるのですが、
Kimのその16歳の誕生日前後を舞台で描いています。

なぜかKimの周りにはOutcast、というかWeirdな人がたくさんいて、
お父さんはアルコールの問題があり、
お母さんはそそっかしく、未だにダンサーになる夢が忘れられず、
親戚のDebraは文字通り前科者。
学校の友人たちも、ヒエラルキーでは下の方のShow Choirだったり、
アナグラムが好きだったり。

出演者全員にキャラクターが与えられていたのですが、皆がピュアだった。
久しぶりにこんなピュアな設定見たわー、というぐらいピュアでした。
でもそこにリアリティがあったのは、台本の良さもさることながら、
全員が役をじっくりと作り上げたからかな、なんて思ってみていました。

個性的なキャラクターばっかり周りにいますが、
Kimは一番ニュートラルで、しっかりしていて、周りが見えている。
以前この病気の女の子を特集したドキュメンタリーを見たことがあって、
その子はその年齢とは思えないほど達観していて賢かったんですが、
Kimにもそんな雰囲気がありました。

病気のことさえ除けば、一見するとストーリーは日常生活。
家族の問題を抱えていたり、性に気づいたり、普通の話。
大袈裟な設定やストーリー展開があるものの、嘘っぽくはない。
Kimの病気はKimの一部ではあり、病気について話すシーンはたくさんありますが、
特にAct1はそれ以外の日常生活が中心にストーリーが進んで行きます。

でもどこかにKimの命のリミットが近いことが感じられて、
言葉にできない緊張感が舞台に漂っていました。
死を予感させるシーンがあるわけではないのに、
漂っている緊張感にこっちが緊張してしまって、涙が出てきました。
こういう体験は初めてでした。

Act2はDebraの指南で、チェックを偽造し、
現金を手に入れようとするストーリーがメインですが(!)、
同時にKimとSethのウブな恋も進んで行きます。
Act2ではKimが病院に運ばれるシーンが出てきて、
もう先は長くないな、とわかるのですが、死ぬシーンは出てきません。
(最後は亡くなったんだなとわかる演出になっていますが)

Act1は死が見えるシーンはなく、でも見えない死への恐怖に緊張しましたが、
Act2は死が近づいているのがわかるのに、
Act1よりLivelyというか、生き生きというか、前を向くようになり、
どちらかというと私はAct2の方がホッとしながら見られました。

そしてseize the dayという内容のメッセージの歌詞が出てきます。
人生にセカンドチャンスはないから、今を大切に。
生の讃歌、というと安っぽく聞こえるけど、
ピュアなキャラクターにピュアに自然な流れで言われるとすーっと入ってきますね。

こういうテーマを、重くなりすぎず、でもテーマはぶれず、
そしてトラディショナルなミュージカルの形態で見られて
本当に良かったと思いました。


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