2022年観劇8本目:Harmony

4/14/2022 Thu 7pm
Harmony
Edmond J. Safra Hall (National Yiddish Theatre Folksbiene)
B107 $25 + Fee $7.50 (TodayTix Rush)

Will Bがこの作品の地方公演に出ていて、
その時にはじめて作品の名前を聞いたのが2013年。
それからすでに9年経っているけど、
実は25年にも渡って作品のDevelopmentが続けられていて、
今年初めてNYでの公演でした。

実在したThe Comedian Harmonistsをテーマにした作品。
1920年、30年代に活躍したドイツの6人のコメディアンシンガーグループの話で、
メンバーの半分がJewsまたはJewish Heritage、
半分がGentile(someone who is not a Jewという意味)で構成されているのですが、
時代とこのメンバー構成で、happy endingじゃないことが容易に想像できます。

作品はChip Zienさん(6人のメンバーのうちRabbiのElder版を演じる)が、
ナレーター的なポジションを務めながら、
The Harmonistsの半生を振り返っていきます。
Chipさんは他にもちょいちょい他の役で出てきます。

The Harmonistsはヨーロッパで人気を博し、
アメリカでもカーネギーホールなどをはじめ、
あちこちでコンサートをしたほどだったそう。
でも歴史的背景から、戦後は存在が忘れられ、
1975年にドキュメンタリーが作られるまで、
ほとんど知られていなかったんだとか。

ミュージカルは作曲がBarry Manilow、脚本と作詞がBruce Sussmanです。

作品はミュージカルらしい始まり方。
最初にこのグループがどういうグループだったのかがわかる、
カーネギーホールでの公演(1933年)から始まり、
どうこのグループが結成されていったか(1927年)という時代に戻り、
Elder Rabbiのコメントが入りながら、時系列で物事が進んでいきます。

このThe Harmonistsを演じた6人の若い俳優がよくてねぇ。
若くて、夢に向かっていて、みんなキラキラしているんですよ。
そしてハーモニーがキレイ。
チームワークもバッチリです。
今回、演出、振り付けがWarren Carlyleなのですが、
マスゲームのように見えて、でもスムーズに動くダンスと共に
The Harmonistsを演じる6人が本当によかった。

ただ歴史的にグループに待ち受けているのは困難のみ。
Act1は彼らの成功を楽しく見ることができるのですが、
だんだん雲行きが怪しくなってきます。

Act1の最後で1933年にカーネギーでのコンサートを終えたあと、
ドイツの動きが怪しくなってきたので、
みんなで一旦ドイツに戻る決断をするのですが、
Elder Rabbiが戻るなー、Noー!と叫ぶんです。
見ている側はこれからドイツで何が起こるかを知っているから、
気持ちはChipさんと同じ。

またAct2は客席にナチスの腕章をつけた人がいて
パフォーマンスを止めたりして、
見ている方も緊張感を一緒に味わうことになります。

The Harmonistsはプロパガンダの一環として、
1930年代のはじめまでは特別にパフォーマンスをすることが許されていたのですが、
ユダヤ人の曲をパフォーマンスしてはいけない、というところから始まり、
しまいには活動を禁じら得れてしまいます。
結局その通達があった日を最後に、6人が再度集まることはなかったそう。

(Wikiによると、ユダヤ系のメンバーは国外に逃亡して別のグループを結成、
残ったメンバーも別のグループを結成したけど、
どちらもオリジナルほどは成功しなかったそう。
また、残ったメンバー側のグループは、各国でのドイツへの風当たりが強くなり、
国外での活動ができなくなったらしいです)

戦争やホロコーストで亡くなったメンバーはいないんだけど、
でも戦争、政治に翻弄されることほどつらいことはありません。

最後、Elder Rabbiのソロがあるのですが、Chipさんが大熱演。
75歳とは思えないほどのパワフルさです。
しかも続けてRabbiがメンバーのその後を語るのですが、
もう涙なしでは聞けません。

作品を通しては、とにかく6人のグループとしてのパフォーマンスが素晴らしい。
ただSierraには何かソロがないと、と思ったんでしょうか。
彼女のAct1のソロはなくてもよかったかな。
ここはMary(Sierraの役)とYoung Rabbiのソロが続くので、ちょっと間伸びしました。

全体の印象としては無駄をできるだけ削ぎ落とした、という作りでした。
これもあれも入れました!フルコースです!という作品ではなく、
割と観客に考える余韻がある構成でした。

公演は5月中旬まで。
もう一度見たいけど、でも見るのがちょっとツラい作品で迷うところです。


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