2019年観劇3本目 : Kiss Me, Kate

2019年2月20日(水) 8pm
Kiss Me, Kate
Studio54
Orch N13 $39+TodayTix Fee (Rush)

本当はプレビューが始まった直後のチケットを
Access10で持っていたのですが、
出張が入ってしまい、別の日にRushをとって行ってきました。

Kiss Me, Kateは2年ちょい前に、
Roundaboutのベネフィット公演 with Willさん&ケリーたん
で見ていて、ベネフィット公演は良かったけど、
あれがBway公演になっても、まぁそこそこかなーと
期待値は低めだったのですが、蓋を開けてみたら想像以上!

これは何度も見に行ってしまいそうです。

プレビューが始まる前に公開された、
ケリーたんとライターの対談で、feminist updateという言葉が
使われていたので、どのように変えてくるのか少し心配(?)
だったのですが、脚本そのものはベネフィット公演と比べて、
大きく変わったところはなかったように思います。

でもリハを重ねたからなのか、
衣装やセットが豪華になったからなのか、
各出演者がキャラクターを深掘りしたからなのか、
全体的にアップグレードされているんですよね。
そして全体的にエレガント。

その一方でコメディだから笑えるけど、下品じゃない。
Act1が終わった時点で、次はいつ見に来ようかと考えたぐらいです。

まずベネフィット公演と一番違うなと思ったのは、Willさんの演技と歌。
Willさんってちょっぴりコメディーがお得意ではないと思っていたのですが、
FredのときとPetruchioのときが違うのはもちろんのこと、
それぞれ色んな面が出てくるんですよね。
団長として頼もしいところもあれば、Lillieを思う気持ちは純粋だったり、
Petruchioのときは偉そうだったり、
その演じ分けの厚みが、前回とは比べ物にならなかった。
こんなに演じ分けする人なんだーってびっくり(失礼!)

歌もコール・ポーターの曲を美しく聞かせるところもあれば、
ちょっとロックが入って、勇ましく歌うところもあり、
こちらも色んな面が一つの作品の中で楽しめました。
Willさんファン的にはめちゃくちゃおいしい作品!

そしてこれまで何度かケリーたんと共演していましたが、
特に前回のNice Workはあまりデュエットがなかったので、
今回は二人のデュエットが存分に楽しめるのも、ポイント高し!です。

ケリーたんとの絡みも、もう何度も共演しているだけあって息ぴったり。
でもどちらも大袈裟になることなく、やりすぎ感もないので、
ただ純粋に二人のやりとりが楽しめます。

FredとLilliの楽屋を行き来するところは
もっと扉をバタバタと派手にしたくなるかもしれないし、
Kateが暴れるところも、もっと狂暴にできたかもしれないけど、
成熟したコメディーとでもいえば良いのでしょうか。
二人とも、適度なラインを維持するので、
慌ただしさも、痛々しさもさっぱりありません。
一方であえて「やりすぎ」に振るところもあって、
でもそのシーンには少しコメディー色を強めて、
やりすぎ感を中和するので、遠慮なく笑える。
主に時代にそぐわなくなってきている部分は
コメディーに振っていたように思います。
それにしても、コメディーなのに全然下品にならないのが、
ベテランの二人だから成せる業なんだなーとしみじみ見てしまいました。
もちろんScott Ellisの演出がいいんだろうけど。

セットも割と大きいもの、
でもやりすぎない程度のものを組んでいました。
舞台裏のシーンは大きなセットで、
階段で上下に行き来できるようになっていたし、
二人の楽屋も、割と大き目で自動で舞台袖から出てくるようになっています。

一方で、劇中劇で使うセットは大きなセットではなく、
いかにも巡業に使いそうな簡易なセット(布)をあえて使っていますが、
細部までこだわって作っているのがわかります。

振付はアンサンブルがメインになるところはいいし、
Too Darn Hotはショーストップになるほどのものでしたが
(でもここはベネフィットの方が好きだったかな)
Corbin Bleu用の振付がちょっと退屈だったかなぁ。
タップがメインなんだけど、2曲とも同じように見えてしまって。
この役、ベネフィットではRobert Fairchildがやったのですが、
彼の方がダンスの幅が広かったのか、退屈とは思わなかったんだけどな。
そしてLouis役のStephanie Stylesも、思ったほどではなかった。
なんでこの役は少し頭が足りない感じになってしまうんでしょうかね。
映画版はもっと品があったのに。

衣装はこちらもだいぶ凝っていた感じ。
劇中劇の衣装は、いかにもな衣装ですが、
Willさんがこういう衣装を着ることはそうないので、
ちょっと可笑しかったです。

そして最後のカーテンコールが終わると、
電球をつける、という演出もされており、
最初から最後まで細部まで手の込んだ作品になっていました。
まだプレビューが始まったばかりでここまで仕上がっているのもすごいし、
これからどう進化していくのかが楽しみで仕方ありません。

ベネフィットの印象に引っ張られてあまり期待値は高くなかったけど、
あまりにステキな作品に仕上がっていて、私は大満足。
久しぶりに上質な作品を見ることができました。


Related Posts

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *