2018年観劇6本目:The Seafarer

2018/4/4 (Wed) 8pm
The Seaferar
Irish Repertory Theatre
D8 $25

Matthew Broderick主演の「海を行くもの」を見てきました。
2007年にBroadwayで上演され、
そのときはRichard役のJim Nortonさんがトニーで助演を受賞しています。

このPlay、トニー賞を見たときに興味を持ったのですが、
特にその後、見る機会がなかったので、
この作品を見られたのもラッキーだったし、
それにマシューが出るというのもラッキーでした。


4人の男と、そのうちの一人が連れてきた謎の男の会話劇。
クリスマスイブにお酒を浴びるように飲んで、
ポーカーゲームをするという設定です。

セットは一軒家のリビングを中心に組み立てたもので、
このリビングで話が進んでいき、セットチェンジはありません。
でも家具や細かい汚れ、そしてお酒の小物等にとても凝っていました。

トイレに行くのに、舞台の横に並ばないといけないのですが、
そこでじっくり観察したら、演者が使わないところまで、
細かくデコレーションされていて、
セット見学をじっくりさせて欲しいぐらいでした。

いつも思うけど、どうやってこれだけのセットを組むお金集めてくるんだろうね。

始まった直後だったせいか、掛け合いのテンポが少し悪いかな、
という部分はあったものの、総じて満足。

相変わらずマシューは、マシューでした(笑)
でも今回は一人だけ良い服を着た紳士、でも実はDevilという役で、
弟シャーキーの命を奪いにきたという設定。
一人だけ違う時間が流れているというか、
他の4人とは雰囲気や話し方が違うのがミソなので、
いいキャスティングだと思いました。

ひとり品があり、でも何を考えているのかよくわからん、
という不思議な感じは、マシューならではのものだと思います。

出演者は見た目も体型も田舎者だし、
決して愛らしいわけではないけど、
こういう人たちがどうでも良い会話を延々と
繰り返しているように見えて、
でも人生の本質をついてくる内容ってどうやって考えつくんですかね。

演出によるものだと思うのですが、
4人はお酒をたくさん飲んで、酔っ払っていて、少々お行儀は悪いものの、
でもどこか毅然としているというか、
わー、品がなくて最悪、と思うような飲み方はしていなくて。
ポーカーも、無理な賭けをしたりするんだけど、
クリスマスだからこんな賭けをしちゃうか!と、
どこか自分を客観的に見つつ状況を楽しんでいるところもあって。
バタバタしているわけでも、ドンチャン騒ぎをしているわけでもなく、
でも淡々と進むわけでもなく、その空気感がとても好きでした。

盲目になってしまった兄のリチャードが、
兄を手伝うために家に戻ってきた弟に向かって、
何度もシャーキー、シャーキーと呼ぶんだけど、
これが最初は煩わしく感じるのに、
Mr. Lockhartが、シャーキーに地獄がどんなところかを話したあとだと、
全く違ったものに聞こてくるのですよ。

例えば、彼は地獄は延々と一人で誰にも会わず歩いていくところだ、
というのですが、これを聞くと、
さっきまであんなにうっとうしい「シャーキー!シャーキー!」と呼ぶ声が、
絶対に失っちゃいけないものだと感じられるようになる。

セリフで命って大切とか、家族って大切とか一言も言わないのに、
そうやってグッとくるところもあって、最後は良い気持ちで外に出られました。
なんならマシューは、Devilの姿をした天使だったのかな、と思ってしまうぐらい(笑)

あとは家に差し込む朝日(照明)がとても暖かくて。
新しい1日が始まるってこんなに美しいことなんだな、と思いました。

オープンは4月18日、
公演期間が少しだけ延長されて5月24日までです。


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