2017年観劇35本目:JUNK

2018年11月11日(土) 8pm
JUNK
Lincoln Center at The Vivian Beaumont
E508 $35

Steven Pasquale主演のJUNKを見て来ました。
1980年代のWall Streetが舞台で、
Junk Bondの帝王と言われた、Robert Merkinを題材にしています。


金融のスリルや、駆け引きなど、
出来事を追っていくだけで、だいぶおもしろかったです。
自分がこのような金融業界に身を置きたいとは思わないけど、
法律のギリギリを行く様子を見ていると、
アドレナリンが出ているようなワクワク感がありました。

その世界で勝ちたかったら、ルールを変えればいいんだ、
と、いうセリフがあり、JunkをAssetと定義し、
人に新たな視点を与えて市場を変えようとしたのが、
まず事実として面白かった。
別にストーリーが予期せぬ方向に進むわけではないんだけど、
なんだかスリリングでした。引き込まれてしまう。

西海岸のSteel Companyを敵対的買収するときなんかは、
だいぶスピード感がありました。
会話のテンポもよかったけど、場面転換もスピーディーで、
間延びするところが全くありませんでした。
この心地よさ久しぶり。

そして、ストーリーの構成が秀逸でした。
こういう「お金」を扱った作品にありがちな、
お金の対抗馬として「人間らしさ」とか「人間味」を出して来て、
お金と人とどっちが大事なんだ、みたいな、
すでに100万回ぐらい問われて来たようなことを、
説教くさく繰り返すことは一切しません。

でもそれぞれのキャラクターの思惑だったり、
結局こういうときって感情面が勝っちゃったりするよね、みたいな、
いかにも人間らしい側面はくどくない程度に含まれていました。

なのでドキュメンタリーを見つつも、ドラマも見ているようでした。
事実として興味深いところもあれば、
ストーリーとしておもしろい部分もあり、お得な感じ(笑)
金融について多少の知識があればストーリーについていけるし、
わかればより面白い、という感じでしょうか。
(金融ジョークで時々小さな笑いが起きてたけどちょいちょい意味がわからなかった。
でも最後のオチは、わかりやすかった。)

主演のSteven Pasqualeのスピーチシーンは特に圧巻。
DebtはFutureである、みたいなセリフがあったんだけど、、
アメリカが経済的に低迷している時期に、
こういう前向きで耳障りのいい話は心地よかったのを差し引いても、
Pasqualeのその話すスピードや説得力はすごかった。
思わず聞き入ってしまいました。

あとSteel側の秘書役だった女性が、なかなか巧みというか、
策士だったのもいいスパイスになっていたし、
Robert Merkinの周りにいる男性2名
(Matthew RauchとMatthew Saldivar)もテンポのいいやり取りで、
どこをとっても退屈なところがありません。

Steel CompanyのCEOはRick Holmesで
この人、R&7Hとか、Starcatcherで、あんまりいい印象なかったんだけど、
今回は追い詰められていく様子に少し感情移入しました。
(でも少し。笑)

セットは舞台後方に上下2段のキューブが並んだものと、
あとはベッドと椅子ぐらい。
キューブはシルバー色をしていて無機な様子を表していました。
キューブを超えて話せる手段は電話だけ。
そこにFace to Faceのやり取りはありません。
だからって冷たい感じはしないし、
この無機質な感じが、金融ドラマを引き立てていたようにも思います。

ただ私の席が舞台の真横だったのもあり、
キューブの奥の方にいる人たちはさっぱり見えなくて、
終わった後に、え、こんなにアンサンブルいたの?とびっくりしました。
カーテンコールまでほぼ見ないで終わる人が数名。

せっかくの半円型の舞台を活用できてなかったのは
もったいなかったかなぁ。

批評は割と分かれていますが、私は結構楽しめました。
会社の人におすすめしたい。


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