2017年観劇29本目:TEREZIN

6月24日(土) 2pm
Terezin
Peter Jap Sharp Theatre(オフ)
GA Comp
Goldstarのコンプで出ていた作品。
手数料$8.5のみだったので見に行きました。


タイトルにもなっているチェコ北部にあるテレジン収容所は
当初ユダヤ人がいかに満足して暮らせるか、
モデルケースとして作られたそうですが、
実際はプロパガンダ向けに使われていた場所。

アーティストが多く収容されていましたが、
でっち上げが済むと用なしになり、
アウシュビッツにユダヤ人を送る中継点として使われたそうです。

ストーリーの内容は事実がベースになっていて、
アウシュビッツに送る(Eastに送る)と言うセリフが何度か出てくるのですが、
Eastに送られて戻ってきた人はいない、
と収容所の中で噂になっており、Eastに送ると言われた人が震えるのを見ると、
どれだけEastが恐怖の場所だったかが伝わってきました。

物語の主人公はナチスによって両親を殺されたVioletとその友達のAlexiの話。
収容所に連れていかれるところから、
収容所での生活、そしてある人に連れられて外に逃げ、
終戦を迎える、という流れでしたが、とにかく緊張感が絶えない舞台でした。

特に収容所の中で、プロパガンダ用のフィルムを撮影するために、
プールで楽しく遊ぶよう指示されるシーンは、恐怖を覚えるほど。
息を止めて見ていたシーンもありました。

ナチス側の司令官は、
音楽に憧れを抱いており、Alexiにバイオリンを自分に教えるよう指示したり
ユダヤの血が流れる建築家の息子に仕事を与えたりして、
一見、冷酷な人ではないと見えるのですが、
サイコな将校にからかわれると一転、
ユダヤ人への態度を変容させるというシーンがありました。
こういうちょっとした一言が
実際にナチス側の人々が冷静な判断をできなくなるように
追い込んでいったんだろうな、と感じました。

かつ、この人は一筋縄ではいかなくて、
ナチス側の人間では唯一心のある人かと思いきや、
自分の息子の家族(ユダヤ人)を殺すことを指示した人でもあるのですが、
でもそれが、息子を守るためだったというセリフが
あながち嘘じゃないというか、
この時代だったらそうせざるを得なかったんだろうと思うと、
司令官として、父として、揺れ動く様子がとても切なかったです。

主人公は女の子二人のはずなんだけど、
私はこの司令官のストーリーだなと思ってみていました。

舞台は布やカーテン使って場面を変えていて、大きな舞台装置はありません。
舞台サイドは収容所を思わせる、
カプセルホテルのような小さな半円状の入り口がいくつか並んでいました。
その半円状の穴を通して光を舞台に当てるシーンがいくつかあったのですが、
閉塞感の中にも幻想的なところがありました。

とにかく緊張しっぱなしの2時間で(インターミッションあり)
正直疲れたし、また見ようとは思わないけど、
たまにはこういう芸術的で、でも歴史的に重要なことも見ておくのは大切ですね。


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