2016年観劇30本目:Falsettos

10月30日(日)3pm
Falsettos
Walter Kerr Theater
J15 $32

今年始まる新作の中で一番楽しみだったFalsettos。
Box Officeがオープンした日にチケットをゲットしました。
ただでさえこんなキャストが揃ってて興奮してたのに、
批評もとても良くて、さらに楽しみにしていました。
が、Tracieがお休みでした。
まぁSJBもARもCBもいたからいいんだけどさー。
どうせなら揃ってる状態で見たかったよね。

もともとはオフで行われたMarch of the Falsettosという作品と
その2年後という設定のFalsettolandという作品を
1992年に一つにしてオンで上演したもののリバイバル版です。

普段はあまり好きじゃない全編歌で語られるものだけど、
今回は全く、好きなタイプじゃないなーとは思わなかった。
セリフにメロディーがついているだけで、
そういう曲は出演者もそこは抑えて歌ってたから
どれもこれも仰々しいのとは全然違うしね。
感情を吐露する大切な部分が歌になってるのは当たり前だけど、
なくてもいいような箸休め的な曲だったり、
キャラクターを深める歌だったりと、
歌にバラエティがあるんだけど、
「曲の勢いだけでもっていきました」感がさっぱりなくてね。
他の歌いっぱなしの作品と何が違うのかうまく説明できないけど、
セリフのあるミュージカルみたいな印象でした。
そしてこの作品にもAIDSが出て来るけど、
なんか今回はちょいと古いな、という感じが全くなかった。
Tick…のときは違和感あったのにな。なんでだろ。

一番この作品が好きだと思ったのは何より俳優だと思います。
NY Timesとかではクリスチャン・ボールが大絶賛だったけど、
私はこれ、SJBさんがすごいと思った。
彼女をミュージカルで見たのはDroodだけだけど、
あの凛としたかっこいい女優さんが、
ここまでナーバスな女性になるのか、とびっくりしました。
特に彼女のAct1のソロは、エルファバやEdwinからは
想像できないようなキャラクターなのに、
コメディエンヌさも存分に発揮しているし、
なにより歌がめちゃくちゃうまいし、
なんなんだ、この人とずっと思っていました。
この作品の土台を支えているのは彼女だと思いました。

ただね。SJBさんが上手すぎて
Trinaの再婚相手となるMendelの弱さが気になって仕方なかった。
この役、めっちゃおいしいはずなのに、全然面白くないの。
どうやったらあんなにつまらなくなるんだ…。
セリフに関係なく笑わせようとしてくるのも気に喰わなかったし。
そして音も外れる…。
ここだけ心底リプレイス希望です。
なんなら、N2Nのドクター使った方が良かったと思う。
あの人、真面目な感じがしつつも面白いから。

私的メインのARは…
なんなんですかあなたは。
決してイケメンじゃないし、歌も特段うまいわけじゃないのに。
舞台上での可愛らしさと思わず目が離せない感じはなんですか。
私がARのことをそもそも好きなのもあるけど、
ARがメインじゃなくて、ただ舞台上にいる時間も目が離せなくてねぇ。
ARはこのシーンでどうリアクションしてるのかな、って気になるんですよね。
それだけ表情がくるくる変わる人だから。
ただ、NY TimesにARの新たな一面が見られると書いてあったけど、
一昨年のHedwigでの演技を見てしまうと、今回はちょっと物足りなかったかな。
今回は助演だから見せ場が少なくて仕方ないんだけど。
でもよかった。

あと、話のメインはCBが演じるMarvinだけど、
なんだかARが演じるWhizzerの視点から見ると、
Act2でエイズになるのがほんとに苦しくてねぇ。
Act1はWhizzerは夫婦間、親子間に挟まれるし、
Marvinとも喧嘩もするけど
Act2だけはただただMarvinを愛していて、
すごく心地の良さそうな顔をしているのが印象的だっただけに、
なんでやっとこんなにpeacefulなのに死ななきゃいけないんだ、って思いました。
だからこそ、You Gonna Die Somedayが、
ほんとなんで彼なんだと思うし、怒りや強がりにすごく共感できました。
あ、あと、ARのスタイルが相変わらずよかったです(笑)

いやでも、ARもよかったけど、CBは圧倒的でしたな。
もう劇場中が彼にもらい泣きしてたと思う。
あんなに劇場がシーンと静まり返って、何の音もせず、
皆が舞台上の人に集中している感じは久しぶりだった。
そしてもうみんなもらい泣きしすぎ!!
あちこちから鼻をすする音がしたのも久しぶりだったー。
私もご多分にもれずどんどんCBにやられて
Father to Sonでグッときて、What Would I Doで涙腺崩壊でした。
普段、あまり人が死ぬからって泣いたりしないはずなのに、
今回はもうCBの表情と歌に引き込まれすぎました。

そしてWhizzerを眺めるときの優しそうな顔もさることがながら
視線がとってもセクシーだったわー。
あの人も割と上目遣いする人だけど、いやー、かっこよかった。
別にシェイクスピアみたいにキメキメな役じゃないけど、
ところどころに出て来る視線がセクシーなのよね。
なんならその目で見つめられてるARズルいと思ったもん(笑)

CB、実は主役枠のOBCは初めてだそうで。
コメディーの印象が強い人だと書かれていたけど、
いや、この人ほんとに何にでも化けますね。
歌えて踊れて、さらにこの演技の幅。
そりゃ舞台の仕事がひっきりなしに入るにもわかりますな。
チャリチョコも楽しみです。

レズビアンカップルのBetsyと普段はTracieが担当する枠の
Stephanie Umohは、まぁ可もなく不可もなく。
Act2しか出てこないから、見どころとしても少ないから仕方ないけど。
そしてBetsyはDroodやL5Y以外はなんか無駄遣いなキャスティングよね。
Umohといえば、モルモンの2nd National Tourのナバルンギに
キャスティングされていたけど、直前になって降板したことがあったけど、
そういえばあれはなんでだったんだろうね。
(マッキンリーも交代させられてたような)
あとUmohといえば、SJBさんが休みで、代役も休みで、
急遽2時間の稽古でSJBの役を演じたことがあり、
ちょっと話題になったので、
どんだけすごい子なんだろうと思ってたんだけど、まぁ…うん…。
音程は合ってて欲しいよね。

と、一通り俳優について触れたところでセットなど。
劇場に入ると、舞台上に立方体に積み重なった
積み木のようなセットが目に入ります。
グレーの生地で覆われた各パーツが椅子やテーブルの形になっており、
俳優たちがシーンに合わせてその立方体からパーツを取り出して、
セットとして使っていきます。
積み上げたり壊したり、また作り直したりするのが
もちろん心情ともリンクしているんだけど、
その様子がFalsettoで歌うように、
なんとなく子どもらしさを象徴しているような。

パーツはそれぞれ机になったり、ソファーになったり、
ベッドになったり、家の玄関になったりしていたんですが、
でもWhizzerが病気になって入院するところでは、
この積み木を使わず、普通のセットを使うんですよね。
これは積み木Phase(子どもPhase)が終わったってことなのかな。

背景は白い布が一面に貼られていて、
その前にもう1枚ビルの形をした面がおりてきて
窓からの眺めを表していました。
で、外のシーンや病院のシーンは白い布1枚でした。
立方体のセットも含めて、ほんとに簡素な舞台。
豪華なセットもいいけど、計算された上で簡素な舞台もまた魅力がありますね。

これはリピートしたい。
1/8までなので早く次の予定決めなくちゃ。


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