2016年観劇29本目:Tick Tick… BOOM!

10月16日(日) 3pm
Tick Tick… Boom!
Theatre Row
A17 $25(TodayTix)

説明するまでもないけど、
Jonathan LarsonがRENTの前に作った作品です。
有名な作品だけどこれまで一度も見たことがなく、
今回のオフ版も最初は見る予定を立てていなかったんだけど、
おすすめして頂いたので、
TodayTixの安いチケットをゲットして見てきました。

客層の年齢層が想像していたよりも高かったのが意外でした。
10代や20代前半でRENTを見ている世代かと思ったら、
50代以上が多かったような。
この劇場で見た、STREIGHTの方が断然若かった。

TTBの曲は今でこそ珍しくないタイプの曲調だけど、
1990年頃、Bwayの音楽は60年遅れていて、
ロックなミュージカルを作りたいと役に言わせている
ジョナサンの音楽は、当時どう聞こえていたのかな、
なんて思いながらみてました。
これを当時聞いていた人の印象などを聞いてみたいです。

上から目線で大変失礼します、なんだけど、
オペラ型の作品があまり好きではない私にとって、
TTBはセリフと歌で作品が進むこともさることながら、
いろんなタイプの曲があってRENTより好きかもな、と思いました。

私が特に好きだったのはNo More。
割とMichael役の俳優さんが好きだったのですが、
ボロアパートと高級アパートの対比が目に浮かぶだけでなく、
曲調にメリハリがあって見ていて楽しかったです。

NY TimesがJonathan役以外、役に合っていないと書いていたけど、私は反対。
Jonathan役に物足りなさを感じて、Michael役が好きでした。
というのも、俳優を目指ざしていたけど成功しなかった感じとか、
いい仕事にありついていいアパートも車も手に入れたのに、

病気に侵されてしまうだなんて、報われない感じが
彼にとっても出ていたと思うのです。
決して成功しない感じといえばいいのかな。
そういう哀愁が彼にはあったと思う。
逆にJonathan役に、絶対に有名なミュージカルコンポーザーに
なるんだという貪欲さを感じませんでした。

曲の話に戻るけど、No More以外に心情を吐露するWhy、
二人の関係性を説明するGreen Green Dress、
なくても別に困らないけど、どうでもいい内容を曲にしていて
それが案外小粒でピリリと印象深いSugerなど、
バラエティに富んでて楽しかったです。

RENTはオペラを土台にしているから仕方ないのかもしれないけど、
RENTが歌とセリフで構成されたらどうなってたんだろうなーなんて思いました。

話がちょっとずれるけど、
去年だったか、日本版のRENTのキャッチコピーが
How do you measure a year in the lifeのあたりの歌詞を使ってたんですよね。
RENTのテーマはNo day but todayだろ、と思ってたんだけど、
医療が発達して、AIDSやその他の病気の原因やある程度の治療方法もわかった今、
エイズに対する不安や死への恐怖は
昔ほど共感されなくなったのかな、って話をしていたんだけど、
今回作品を見ていて思ったのはMichaelのエイズの告白シーンが弱かったかなということ。
Jonathanの30歳を前に何も成功していない焦りの方がわかりやすいというのもあるけど、
そっちに共感できすぎたからか、おいおいここでエイズが出てくるのか、
ちょいとテーマぶれちゃわないか？感は否めませんでした。

彼が生きた時代にエイズで死んでしまう人が多かったから、
エイズは重要なテーマだったのはわかるけど、
Jonathan Larsonの作品でエイズとくると
すぐRENTと比較してしまうので、
RENTと比べると死への恐怖が薄いな、と思ってしまいました。
しかも話の後半でエイズっていう爆弾を落とした割には
その結果が処理されずに話が終わっちゃうし。

でも3人のエネルギーに溢れる演技は楽しめたし、
30歳までにはこうあるはずだったのにという不安と焦りに
共感できる部分も多く、見ながらこのままでいいのかな、
と考えさせられたけど、なんだか貴重な90分でした。
私はなんならRENTよりこっちの方が作品として
引き継がれていく気がするなぁ。

11月20日まで。