2016年観劇16本目:Shuffle Along or the Making of the Musical Sensation of 1921 and All That Followed

5月24日(火)
Shuffle Along…(略
The Music Box
SRO109 $35

オープンしてからはRushがなくなり、
完売した場合のみスタンディングを出すということで
朝の時点で残席が4枚だったのを確認して
これなら立ち見も出るだろうと並んでゲットしてきました。

1912年に上演されたShuffle Alongができるまでとそれからを
制作者たちをメインに描いた物語です。
Bwayで初めて上演されたアフリカンアメリカンが作った作品で、
これを機にアフリカンアメリカンの
舞台キャリアが高まっていったそうです。

うーん。期待を高く持ちすぎたかも。
Shuffle Alongaという作品ができるまでとそれ以降の
「裏側」の話っていうから、もっと人のドラマに
フォーカスがいっているのかと思ってたら、
ストーリードリブンじゃなくて、パフォドリブンの作品でした。
いや、パフォドリブンの作品も好きなんですよ。
Dames at Seaみたいに、
これでもかーーーっとタップして、
話の中身なんてないようなものも好きなんだけど。

でも、ドラマのシーンは用意されているのに、
そこへの入り込みがちょっと足りない感じがしました。
Shuffle Alongを作ってBwayの歴史を変えた
作詞作曲の二人と、脚本の二人が、
Shuffle Along以降、2組に分かれるだけでなく、
ペア内でも違う道を進むんだけど、
その出来事を説明するものがセリフとしてはあるんだけど、
そこにイマイチ入り込めないというか…。ちょっと表面的でした。

実際の出来事、人物を基にした話で、
かつ客席に状況を説明するセリフが入るという点から見ると
JBに似たスタイルで、客席に向かって語りかけるシーンは
作詞作曲家、脚本家役の4人がとっても慣れた様子で、
うまく間を使って客に語りかけるから
あ、これおもしろいかも、と最初は思ったんだけど、
JBと比べるとセリフがちょっと退屈でした。
もうちょっとウィットに富んでいてもよかったのにな。

あと、どのダンスも派手だから、ダンスシーンは盛り上がるんだけど、
歌やダンスではなく、セリフで劇場の空気がガラっと変えたり、
緊張してピーンと空気が張り詰めるといった部分がなく、
そういうのがJBみたいにあればよかったのになと思いました。
なんだろ、脚本の問題なんだろか。

特にF. E. Miller役のBrian Stokes Mitchellと
Aubrey Lyles役のBilly Porterが別れるシーンは
お互い強い演技ではあるんだけど、
ちょっとした言い争いにしか見えなくてねぇ。
まぁこういうペア内の方向性の違いって
別に大してレアなことじゃなくよくある話だよねー
なんて思って見ていたら、
そのあとのBillyさんの歌がソロがめちゃくちゃ感情こもってまして。
そこで、あ、さっきのはめちゃシリアスな言い争いだったんだ、
とそのあとの歌で気づきました。

舞台上にBrianさんとBillyさんだけでなく、
Eubie Blake役のBrandon Victor Dixonと
Lottie役のオードラさんもいて、そこも言い争っていたから、
フォーカスがそれぞれ甘くなってしまって、
どっちの言い争いもその後の人生を大きく変えるものには
見えなかったのですよね。

ダンスはタップをとても楽しみにしていたんだけど、
集団でタップをするということに重点が行きすぎて、
全体の流れをときどきぶった切ってる感じもしました。
劇中劇だったり、ストーリーが進みながら
それをしゃべっている人がタップをするシーンは素敵で、
立ちながら見ていたのもあって思わず足踏みしてしまったけど、
さぁタップしますよー見ててくださいよーと、
一旦ストーリーの流れをぶった切って、
タップパフォーマンスがメインになっているところがやや多かった気がする。
そういうパフォにとにかく重点を置くシーンがあってもいいんだけど、
ちょっと多すぎというか。
あとシーンとシーンを繋ぐ場面転換にアンサンブルによる
タップが結構多く使われていたんだけど、
その手法に途中でちょっと飽きた部分があったなぁ…。
そこ削ったらあと15分は短くなるよね?みたいな。

なので、作品そのものの出来は感動するものではなかったけど、
プリンシパルが、皆歌って踊れるのはすごかった。
個人的にはJoshua Henryを楽しみにしていて、
確かに4人の中では大きなドラマがあるわけでもなく
ちょっと地味っちゃ地味な役だったけど、
相変わらず歌もダンスも素敵。
でもせっかくの良い筋肉が今回の衣装だとあまり見えずに残念でした(笑)
いや、ちょっと痩せたかね?
隣に立ってた女性と、あれJoshua Henryでいいんだよね?
ってインターミッション中に確認しあったほどですw

Joshua HenryとペアのBrandonは
Motownで見て、あれは作品自体がひどかったから、
あー、歌うまかったよね、ぐらいしか思わなかったけど、
今回のコメディな役、すごく似合ってた。
くどくなりすぎず、バランスがめちゃよかったです。
妻がいるのにオードラさん演じるLottieと恋をする仲なんだけど、
オードラさんのあの迫力に負けない存在感がすごかったです。
割とMotownは真面目な役だったけど、
真面目もコメディもどっちもいけるのはさすがですな。

あ、そういえばこの二人、スコッツボロのHeywoodペアではないか!!
と見ている時に思い出しました。

BrianさんとBillyさんはさすがベテランって感じ。
Billyさん、KBで見た時は声がかすれてた印象しかないんだけど、
今回は全然そんなことなくって、
この感じでKBが見たかったなぁと思いました。

オードラさんは…
ほらもう何やってもすごい存在感じゃん?
だから特にわーーーっ!! という感じはなく。
今回他にすごい人がいっぱいいるから、
トニーにノミネートされなかったのも納得な感じでした。
一応主役ってことになってるけど、
話の中心は制作者の4人だから、
そうフォーカスの当たる役でもないしね。

BIO以来のAdrienna Warrenは
かわいいし踊れるんだけど
私はちょっと演技が好きではなかったかな…。
あれでトニーノミネートなんだ…と思ったけど、
そか今年はあまりいい助演女優がいないのか。

で。で。ですね。この作品のメインに移っていいですか。

Brandonもよかったけど、この作品で一番心奪われたのは
Brooks Ashmanskasさん!
いやーーーとにかくすごかった!!
これまでプロミセスプロミセス、ブレッツ、SR!で見たけど、
今回の役は見所満載!! って感じでした。
ってか前の3作品、完全に無駄遣いでしょって思った(笑)

見た目はまるっとしてるけどめちゃ踊るし、
一人で2役をやるところなんてコメディの手本みたいだったし、
もう何かするたびに、視線を完全に持っていかれました。
今年のトニーの助演男優は彼にあげたいぐらい。
この作品の唯一の白人プリンシパルで、
ストーリー上、観客を敵に回しやすい役どころなんだけど、
彼が出てくるとガラっと雰囲気が変わるし、
スマートさとおもしろさにやられて、
完全に彼の味方になっちゃったよね。

ひとり違う立場(白人)でストーリーを語っているので、
観客の視点を変えるためのポジションではあったと思うのですが、
ただ視点を変えるだけでなく、
彼自身のパフォーマンスそのものが見所。
なんなら彼のパフォだけみたいから
切り取って見せてくれませんか、と思いました。

それにしても何人こんなに器用な人がいるんですかね。
層の厚さが違いますな…。


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