2016年観劇10本目:Straight

4月3日(日) 3pm
Straight
The Acron Theatre (Theatre Row)
Off-Broadway
A6 $20

Today Tixで最前列が$20で売られていたので
それを買ってみてきました。

BeautifulでオリジナルGerryを演じていた
Jake Spsteinが主演の約90分のプレイです。
この作品のメインビジュアルがこれ。

このキャッチコピーを見た時に、
なんだこれは、と思って気になっていました。

良い大学を出て良い仕事を持って、
良いアパートに住んで、優秀でかわいい彼女がいる、
典型的なアメリカの白人20代が
もし自分がゲイだと気づいてしまったら…という話。
 



でもこの作品は典型的なcoming out作品ではなく、
このご時世「ゲイとして生きるのは怖くない」

けれども、ゲイとしてラベルを貼られると
個としてではなく、その集団、としてしか見られなくなる、
という不安を抱えた場合、さてどう生きるのか。
sex identityというより、レッテルを貼られること、
典型的ステレオタイプの型にはめられることへの怖さを
20代半ばの視点から描いた作品で、
セリフに今のまま誰も自分がゲイだって知らなければ、
僕が何をしていて何が好きで何が嫌いかを皆知ろうとするけど、
ゲイだと言った瞬間に「ゲイ」で終わってしまうと。
それ以上、深く見てもらえないということへの恐怖に
どう対処していくか、という話でした。

作品説明だけ読んだ時に興味を持って、そのあとレビューを見てみたら
割とポジティブなものが多かったし、
チケットも安いので見に行ったのですが、期待以上のおもしろさでした。
いや、おもしろいという言葉はあまりそぐわないんだけど、
テーマやセリフが今らしいし、スマートで、
これまでとはまた違ったidentityへのアプローチが興味深かったです。

Benがたまたま知り合った20歳の大学生クリスと事に及び、
そのあとの妙な空気感から作品がスタートします。
小さいときに同じサッカーチーム(だったかな)の
男の子を好きだと思ったことはあったけど、
5年間付き合っているEmilyがいるBenは、
自分がゲイであることを認めたくないものの、
Chrisとその後も会い続けます。

1回目以降、Benが自分がどう自分のsex identityに
向き合えばいいのか迷っているから、
ChrisがBenとさっぱり関係が持てないことに業を煮やし、
もっとこうやって自分をさらけ出したいんでしょ?と
いかにも「典型的なゲイ」なことをやってBenをおちょくるんだけど、
それにカチンときたBenが男らしくパワーで
Chrisで力で抑えつけようと襲うシーンがあったのですが、
そのときのJakeがすんごい色っぽかったです←
最前列は安いチケットだからか、
大学生ぐらいの若い女子が多かったんだけど、皆息止めてたよねw
そしてお互い服を脱ぐんだけど、BenがChrisのパンツに手をかけて、
お尻を出したところで、隣の子がPlaybillで顔を覆ってて、
その乙女な様子に私がキュンとしました←

そういや、クリスのボクサーパンツがGAPで、
でかでかとロゴが入ってたのが見えたんですよね。
ま、大学生だからGAPでいいんだけど、
もうちょっとなんかマシなのなかったのかなw

話を戻すと(笑)
Jakeがねぇ、だいぶよかったのですよ。
ふつーーーの20代の男の子が、彼女の尻に敷かれている一方、
でもクリスといるときだけ雄弁になって、
ロジカルにどう自分の道をチョイスすればいいのか、
と迷っている様子がなんかすごくリアルでね。
自分らしく生きることが必ずしも幸せではない、というセリフがあったんだけど、
理想論だけじゃない考え方にはまりました。
Gerryのときは少し物足りなさがあったけど、
今回の悩めるJakeはとてもよかった!!

クリスはベンに自分を出せというんだけど、
クリスもクリスで自分からオープンに
カミングアウトするわけではなく。
多分ドームのルームメイトは気づいていると思う、程度。
二人して「ゲイでいるのってやだよね」っていうのが、
別に本当に自分を見て!! と強く思う訳じゃないんだけど、
レッテルは貼られたくないんだよねっていう二人の様子が
今は割とタグ付けたがる世の中だから、
誰にでもある葛藤だったりして、自分ごととして話に入り込めました。

EmilyはEmilyで生物学を専攻する博士課程の学生で、
これまた女性がなかなか学問の分野で認められないことを
表していたけど、そのせいからかBenには
典型的な関係(子どもを作って仲良く暮らす)を求めていて、
あー、みんなこうやってバランスとってるんだぁと思って見てました。

そう。
Jakeもよかったけど、Chris役のThomas E. Sullivanがまたよくてねぇ。
年上のBenに対して物怖じしない大胆な物言いをして、
彼もステレオタイプなゲイを演じないんだけど、
Emilyとバイオロジカルな話をすることで
natureとnurtureがどう人に影響を与えるのかを
自分やBenに適応して考えようとしたりしてロジカルなのに、
でも時々あっという間に崩れそうなぐらいエモーショナルでもろかったり、
感情をストレートに表す部分が出てきてたりして、
理論と感情のバランスの良さに引き込まれました。
最近NYUを卒業したばかりでこの作品がオフデビューらしいのですが、
役がいいのもあったけど、彼はまた何かで見てみたいかも。

話をストーリーに戻すと、こんな三角関係はそう長くは続かず。
EmilyはBenと同棲を始めたいというし、
Chrisももっともっと二人の時間を持ちたいと言い始めます。
Benはゲイである自分を認めはじめ、
最後にとうとうChrisにI love youと言います。
その次のシーンで、先日同棲するかどうかで喧嘩したばかりのEmilyと会い、
とうとう別れを切り出すのか、と思いきや。

最後はなんと、Emilyにプロポーズするシーンで終わりました。

えーーそうなのBen!!と思う一方、
こういう選択もありだな、と思わされるのがこの作品の面白さでした。
マジョリティとマイノリティを世間がどう見ているのかを、
ピリっと突いた作品でした。


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