2023年観劇8本目: Fat Ham

05/24/2023 Wed 7:00pm
Fat Ham
American Airline Theatre
Mezz C125 $39 Todarytix Rush

昨年オフで上演され良いレビューだった、かつPulitzer賞を獲得したFat Ham。
Broadwayに今年トランスファーされたので見に行ってきました。

Hamletの設定をちょっとだけ参照し、
セリフも使ったりするんだけど、話は特にHamletとは関係ありません。
舞台はノースキャロライナ、あるいはヴァージニア、メリーランド、テネシーのお家。
ミシシッピやアラバマやフロリダではないとPlaybillに書いてありました。
これ、ちょっとなんかわかる。
黒人社会における、Muscularityや暴力、セクシュアリティがテーマで、
内容はシリアスだけど、コメディとして話が進んでいきます。

男らしさが良しとされる親の世代。
男らしさ、強さが重要で、暴力的でも良いといった考え方。
やさしくてソフト、ましてLGBTQといったことは認められない。
女性も、親の世代と同じような女性らしい格好を強要され、
異性を好きになるのが当然とされる。
でも親世代がその前から引き継いできた、
男とは、女とは、という観念や行動が正しいと言えなかったら?

主人公のJuicyはQueerな男性。
母親の再婚パーティーを裏庭のBBQで行う準備をしているときに、
父親のゴーストが出てきて、実は父親が母親の再婚相手である叔父が
父親を殺した犯人だと教えられ、仇を打つように言われる。
そこに同じくセクシュアリティに悩む親戚が出てきて、話が入り込むという展開。
最後はハッピーエンドです。

特に舞台上では具体的な年代は出てこないのですが、現代の話。
子ども世代はオンラインで大学に通っているというセリフがあるから、
だいたいGen Zあたり。親世代はBoomersまでいかない。
代々「当たり前」とされてきた負の連鎖を断ち切るという話なんだけど、
なんかGen Z世代のパワーってすごいよな、と思ってみていました。

もちろんGen Z世代の前から暴力やセクシュアリティについて
問題提起がされてきていて、そのために行動した人は多くいるけど、
Gen Zってそれを表現することが当たり前というか、自然と行動に移す強さがありますよね。
この作品はJames Ijames作なのでGen Zの作家というわけではないけど、
Social Justiceのために動くGen Zが話の中心で、
この世代に動かされているなという感覚をこの作品でも味わうことになりました。

作品全体はめちゃくちゃコメディに振っているのですが、
時々出てくるセリフが核心をついている。
そして出演者が第4の壁を破って話かけてきて、
巻き込まれる感じがある一方、
主演者が客席を意識していて、恥をかかせるなというセリフにもあった通り、
観客=世間的なプレッシャーを表していました。

楽しい観劇でした。


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