2022年観劇23本目:1776

12/1/2022 Thu 7pm
1776
American Airline Theatre
Orch J17 $30

全ての役を女性(non-binaryやTransgenderも含む)が演じている1776。
Bostonのトライアウトも、このBway公演も
批評がイマイチで行くかどうか少し迷ったのですが、
以前、NYCCで1776をやったときに見に行かなくて後悔したので行ってきました。

うーん。
まず全体的に俳優がBroadwayのレベルって感じじゃなかった。
ソロになると「私はこれだけ歌えるんだよー」と大声で歌ってみたり、
学芸会レベルの演技をする人がいたり、なかなかひどい。
隅から隅まで良い俳優を集めるのは難しいだろうけど、それでも…。
演出も全然良くなかったけど、でもまず、この力量じゃ、
演出がどう頑張っても難しいだろうな、という印象でした。

特にJohn Adams役がイマイチだったのよね。
映画版だと、たとえ皆から好かれるような性格じゃなくても、
アメリカを独立させるんだという強い意志を感じたし、
こういう人強い意志を持った人が歴史を動かすんだな、という
納得性の高い演技だったけど、今回はそういうパワーが全く感じられず。

あとこの人だけ「男っぽく」演じようとしているのが気になりました。
別に「女性が男性を演じる」作品ではないんですよね。
誰かのことを指すときは役名に合わせてHeを使うけど、
だからと言って「男性っぽく」動いたり喋ったりしなくていい。
他の俳優、例えばJohn Dickenson役もJohn Hancock役も、
独立反対派としての振る舞い、コングレスのリーダーとしての振る舞いで、
「男」を演じようとはしていなかったので、余計John Adamsが気になりました。

俳優だと、一番印象に残ったのはSara Porkalobでした。
色々コントラバーシャルな発言があったけど、
まず、全然75%の演技じゃない(笑)
Molasses to Rumでの指摘がいい意味でも悪い意味でも
その後の歴史を形づけたことになるわけですが、
それがしっかりと伝わるパフォーマンスでした。
他の人のソロに全然迫力がなかったのもあって、
彼女のソロが唯一の見応えのあるシーンだったと思います。

そして彼女がインタビューで指摘していたことは、割と核心ついてるよね。
カラーブラインドキャスティングなのに、
なぜ奴隷貿易のシーンでは黒人が奴隷役になるのか。
それだったら、アジア人である彼女が奴隷貿易を仕切る人を演じる意味付けが
必要になったはずなのですが、そこはスルー。
また、non-binaryやTransがいることを宣伝しておきながら、
彼らがその役を演じる意味づけがされていない。
なんか、マイノリティーをいっぱい使ってますよ、って
マジョリティー側が言いたかっただけなんだな、と見えてしまいました。

ま、でも演出もなんかコミュニティーシアターかなって感じだったし、
セットも全然お金かかってないというか、工夫がないし、
(カーテンだけってどういうことよ)
せっかく今やる意味があった作品なのに、
小手先のギミックだけで中身が練られていなかったのが残念でした。
これなら映画見るだけでよかったよね…。


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