2018年観劇22本目:Girl From The North Country

2018年10月7日(日) 1:30pm
Girl From The North Country
The Public Theatre
Q5 $20(+手数料$7) Rush

イギリスでの成功を引っさげてのNY入り。
The Seaferなどを書いたConor McPhersonが
Bob Dylanの曲を使って書いたミュージカルです。
Bob Dylanの出身地であるDuluth, Minnesotaを舞台に
1930年代の大恐慌時代の、ある小さな宿を経営する家族と
そこに集まってくる人たちの物語です。

オフ公演は延長があったものの完売。
次はBway入りか?なんて言われています。

Our Townのように、ナレーターが出て来て
時々状況が説明しながら、宿の家族がどうなっていくのかを
追って行く形式を取っています。

大恐慌時代の人々の悲哀を描いていますが、
The Seaferのように、光が見える作品ではないので、
あまり心地よく劇場を出ることができない。

かつ、ストーリーがが曲に制限されるから、驚きがないのは
ある程度予想できたことだけど、それ以上に演出が悪い気がした。

まず、ミュージカルじゃないね。Bob Dylanの曲を使った音楽劇。
それはそれで一つのジャンルだから、
ミュージカルじゃなくてもいいんだけど、
でももうちょっと音楽とストーリーをうまく混ぜて欲しかったな。

一見、大恐慌時代の閉塞感を描いているようだけど、
プロットが曲に制限されるからあまり奥深さがないし、
既存曲ばかりだから、いまいちフィットしていないところがあるのは
多少目をつぶるとしても、ストーリーを掘り下げられないぶん、
歌を歌うときはマイクスタンドで歌って、
曲を歌うことを一つの見せ場にしてしまったせいで、
歌が始まるたびにストーリーがぱったりと止まってしまいました。

でも、その一方で音楽を中心に据えている割には
音楽を軽視していて、音楽の余韻を楽しませてくれません。
次のシーンのセットが出て来たり、音響で別の音が入って来たり、
照明がかわったり、セリフが始まったりするから、ちょっと心地悪い。

あと出演者数名に楽器を弾かせていましたが、
それは全部バンドに任せても良かったんじゃないかな。
出演者が楽器を弾き始めるまでの動きが全然スムーズじゃないのね。
なんでこの役の人がこのシーンで出て来たんだ?と思ったら楽器を弾くためだったり、
楽器がある場所に移動するのに、そのシーンを演じている人の前を横切るので、
そのシーンの緊張感を壊してしまっていました。

あと、全体的に群像劇で、キャラクターのある役以外に
その他大勢のアンサンブルもいるのですが、
キャラのある役を、アンサンブル的にも使うので、
うん?なんでここであの役がこんなことしてるの?という
違和感が拭えないシーンがたくさんありました。
アンサンブルで使うんなら衣装変えてくれないと。

批評を読むと割とポジティブなものが多いんだけど、
Bob Dylanの曲と、アレンジが良かったからなのかな。
でも作品としてはあまり楽しめなかったなぁ。


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