2016年観劇36本目:Kiss Me, Kate

12月12日(月) 7:30pm
Kiss Me, Kate
Studio 54
Benefit Concert
Rmezz NN203 $150

Willさんに$100以上払ったことなかったのに(笑)!!

One night onlyのベネフィットコンサートだったので、
まぁチケット代が高かったわけですよ。
オケ席は$500。メザニンの最後尾で$150。
でも、コールポーターの曲じゃん?
相手はBells Are RingingとかNice Workでいいコンビだった
Kelli O'Haraじゃん?

もう行くしかないですよね…。


1日だけのコンサートバージョンですが、
アンサンブルはしっかりと16人もいました。
演出はDroodやSLMのScott Ellisさん。
振り付けは同じくSLMやon the 20th centuryのWarren Carlyleさん。
舞台上にオケがいる形式でした。

今回の音楽に関わった知り合いがいるので聞いたところ、
リハは前日と当日の2回のみだったそうです。

全員台本を持ちながらの演技ですが、
一人、セリフが飛んで、台本をペラペラと捲り、
でもセリフが見つからずに、anyway… と強引に進めた人がいましたが、
それ以外はアクシデントがあるとそれをうまくセリフに入れたり、
間でいい感じに処理したりして、皆さんさすがでした。
Act2で、Kelli O'Haraがテーブルの上に置いてある帽子をとるシーンで、
なぜか帽子の中に鏡が入っていて、それを知らずに帽子を掴んだから
鏡を落としてしまったところがあったんだけど、
そのシーンに出ていたケリー、ノームさん、Willさんが、
3人ともわざとセリフにMirrorという単語を入れて
アクシデントをわざと面白おかしく処理していました。
で、Willさんが最後にミラーをセリフに入れたんだけど、
だんだん意味をなさなくなってきたからここでやめておくか、と、
役のキャラクターに合った言い方をしつつも、
きちんと後片付けしていていましてね。
ハプニングが面白いというわけではなく、
ハプニングをストーリーからもキャラクターからも外れずに
処理しているところが3人ともさすがでした。

アンサンブルはどのぐらいダンスと歌のリハをしたのかわかりませんが、
前半後半にそれぞれアンサンブル全員のダンスナンバーがあったり、
Robert Fairchildにはタップの見せ場があったり、どれも見ごたえ十分でした。
アンサンブルは歌メイン班とダンスメイン班がいましたが、
歌班は声がキレイだった。
アンサンブルでもここまで歌うんだから、やっぱりBwayはすごいところだ。
ダンス班は足がぴんと上がったり、
手を抜かないで決めてくるところがさすがでした。
割と覚えの早いキャストが集められたんだろうけど、
ほんのわずかな時間で振り付けと立ち位置を覚えて、
他のキャストとの息の合わせ方を確認して、
それで一流のものを作り上げてしまうのはさすがですね。

1曲目はアンサンブルによるAnother Opening, Another Showから始まります。
人数が多くて迫力があったのもそうだけど、
いい塩梅にダンスナンバーになっていて、最初からとても盛り上がりました。
昔の作品がそうなのか、演出家によるものなのかわかりませんが、
Scott Ellisさんの作品は1曲目でワクワクさせてくれますよね。

次のLoisのところは、彼女がやるとね…
なんか品のない感じで嫌でした。
今回のベネフィットでキャスティングニュースを聞いて、
えー、マジかよ、と唯一思ったんだけど、悪い予感的中。
Act2も彼女のソロがあったけど、一人で全然場が持たなくてね。
アンコールみたいな感じでもう一度出てきて歌って踊ってたけど、
もう飽きてるから早くさがれーって言いたくなるぐらいでした。
音合わないし、品ないし。もっと他に人いただろー…。
そうそう、Bill役はRobert Fairchaildでしたが、
ダンスはめちゃ見ごたえあったけど、役には合ってないよね…

でもいよいよ次はWillさんとKelli O'Haraのデュエット(Wunderbar)です。
個人的にこの二人はBroadwayの中での最強のコンビのひとつだと思っています。
もう何度も共演しているから息がぴったりなのもありますが、
声質もあっていると思うのです。
二人がクラシックなキレイな歌を歌うと、たまらなくなります。
しかもWillさんのパートは低音。ありがとうございます。
BARの時にこの声と結婚したいと思ったのを思い出した。

次のKelli O'HaraのSo in Loveはもう。
何か温かいものに包まれているような気分になりました。
バイオリンの音もすごくキレイで。
あの歌はレコーディングして多くの人が聴けるようにすべきだと思います。
もうね、作品の前半なのに感性がヒューヒュー飛びましたからね。

Willさんは、相変わらずのコメディセンスなので、
ちょいちょい演技では惜しいところはありましたが、
(なんか少し前のめりな気がするのよね。もっと間をたっぷり使えばいいのに)
ケリーたんとの息がぴったりで二人の掛け合いはとても良い感じでした。

Tom, Cirk, or Harryは歌はあれでしたけど、
振り付けがなかなか楽しい感じでした。
ちょっと下ネタな振り付けが入ったんだけど、
それが全然下品ではなく、可愛らしい感じで、笑いが起こりました。

次のI come to wive…は、その前に最高な歌い方を聞いてしまったから、
それと比べるとWillさんはそうでもなかったけど、、
男性陣全員が歌っていて、迫力がありました。
そうそう、3名ほどガタイのいいアンサンブルがいましてね。
彼らが全員よく響く声の持ち主で、
野太い和音が聞けたのたよかったです。

I Hate Manは美しく歌いつつも、
ケリーたんのコメディエンヌっぷりが最大限にでていて、
おかしいけどキレイでうっとり、
でもキレイなのにおかしくて笑ってしまうという、
とっても不思議な時間でした。
超真面目な顔で、しかも美しい声で歌っているのに、
コメディ要素を挟んでくるとか、ケリーたん恐るべしです。
こんなことできるの他にいないと思うわ。

そしてその次のWillさんのソロ、
Were Thine That Special Faceはこれもまた低音全開。
あんな声でyou'll be mineなんて言われたら、そりゃコロっと落ちますわ。
Willさんって舞台上で喋ってるときの声は
どちらかというと張ってる感じだけど、歌うととても静かに響くのですよね。
オペラの人とはまた違う響き方だけど、
決して体が太いわけじゃないのに、あの響きはどこから出て来るんでしょうか。
ちなみにこの曲のあとは歓声が湧きました。

この後のシーンはLilliとFredの言い合いがしばらく続きますが、
二人の息がぴったり。
ねぇ、ほとんどリハしていないだなんてほんとですか。
すごくテンポが良くて、ずーっと笑ってました。
しかもここはちょいちょいアクシデントがあったのですが、
どっちもそれを隠さず逆にちょいと誇張しながら
うまく流れに組み込んでいて、
二人がもう「さすが」としか言いようがありませんでした。

Act2もアンサンブルのダンスナンバーから始まります。
メインで歌う人の音程が外れ気味だったのが気になりましたが、
アンサンブルの動きが良くてねぇ。
現在Studio54で行われているHoliday Innの舞台をそのまま使うので、
舞台から客席に降りる階段があるんだけど、
階段や階段の下のスペースを余すことなく使っていました。

Act2の最初のWillさんのソロはWhere is the Life That Late I Led?
いやいや、Willさんがこの曲歌うかって感じだけど(笑)
珍しく←このときのWillさんはコメディ加減が良かったのですよ。
すっごくメリハリがあって、だいぶ笑いました。
しかも低音を適度に響かせてましてね。
これも盛り上がったー。

ノームさんが出て来た後は
ちょいちょいアメリカの政治を皮肉るセリフがあったのでが、
これはもともとからあるセリフなんですかね。
今回用にちょっと変えたのかな。

全体的にどこも見所があった今回のプロダクションですが、
Always True To You In My Fashionだけは
とっとと終わってくれと思っていました。
うまくないし、かわいくないし、しつこいし。
ほんとこの人なんでキャスティングされたんだろか。
割と映画のBianca役の人が好きだったんだけど、
今回は映画みたいに品がなくて、すごく安っぽく見えました。

ノームさんの役のソロは初演にはなく再演時に足されたのね。
私、あんまりノームさんの当たり役を見たことがないんだけど、
今回もうーん、っていう感じだったなぁ。
上手い人なんだけど、あんまり役にハマってる感じがしなかった。
出番が少ない役で、セリフもそんなに多くなくて、
わざわざノームさんでなくても、という感じだったけど、
ビッグネームが欲しかったんですかね。
実際、ノームさんの名前が発表されたあとチケット完売してたし。

ただ何にも動じないノームさん演じるHowellに対して、
Willさん演じるFredはバタバタと慌てている様子はおもしろかったです。
別にWillさん、特段小さいわけじゃないけど、
ノームさんと比べるとちっちゃく見えるので、
静と動の対比が見た目でも出ていていい対比でした。

そのあとのBiancaはダンスは見どころだったけど、歌はイマイチ。
先にも書いたけど、タップはすごかったけど、歌はね…。

最後のWillさんのソロのSo in Love (reprise)も響かせ系。
楽屋の机に座って、振り絞るように声を出すのですが、
もう切なくてねぇ。たまらなかったです。
そしてやっぱりこの人はコメディーよりドラマだなと再認識。

次のBrush Up Your Shakespeareは
演じた俳優がどっちも歌がそううまくないけど、
キャラクター勝ちというんでしょうか。楽しかったです。
でも、もうちょっと盛り上がるかと思った。
なんども繰り返してやっと笑いが起きた感じでした。

そしていよいよ最後の場面へ。
Katherineが戻ってきてめでたしめでたしとなるんですが、
最後にケリーたんがWillさんのお尻をパンパン叩いていました(笑)

いやー、ほんとWillさんとケリーたんのコンビ最強すぎる。
こういう古い作品だとあまり長持ちする感じがしないので、
なんとか新作で、かつキレイな曲で聴かせる作品をぜひ誰か作ってください。


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