2016年観劇12本目:Tuck Everlasting

4月12日(火)
Tuck Everlasting
Broadhurst Theatre
$19.95 Mezz F114

プレビュー中のTuck Everlasting、
プレビュー中はメザニンのF列以降を特別価格で出したので、
それを買ってみてきました。

それだからか、F列以降はまぁまぁ埋まっていたけど、
それより前はだいぶ空席がありました。
公式ツイッターアカがいろんな俳優にメンションして
見に来ない?と誘っていたからか、
だいぶシアター関係者っぽい人が多く、
シーンとは関係なく歓声や拍手が沸き、
あー内輪ウケ…と何度か思った観劇でした。

1975年のNatalie Babbittによる
同名の児童書が元で、過去に2度映画化もされているそうです。
2015年のアトランタでのトライアウトを経て、
3月からプレビューが始まりました。

アメサイを見た後だから少し甘くなっている部分があるかもだけど←
「惜しい」というのが率直な感想です。
なんかね、悪くはないの。でも良くもないの。
改善しようと思えばその余地はたくさんある感じ。
素材はいいんだから、もうちょっと時間をかけて、
じっくりと作ればよかったのになーと思った作品でした。

ストーリーはthe circle of lifeがテーマで、
不老不死の水を得たWinnieが結局は
それを飲まないという決断をした、という話なんだけど、
あーあ…と思ったのが2点。
一つはその決断をした理由がさっぱり見えなかったこと。
そしてもう一つは最後にthe circle of lifeを
ひたすらバレエだけで表現していたこと。
ミュージカルのくせに大切なテーマを歌で表現しないのかいっ!!
と思わずツッコミそうになりました。

決断の理由が見えなかったのは
Jesseが11歳のWinnieに17歳になったらこの水を飲んでね、
と不老不死になれる水を渡すんだけど、
Winnieはそれを家に戻った瞬間、カエルにかけちゃうんですよね。
Tuck家と別れる前にTuck家のお父さんが1対1で命とは、と、
Winnieに説明するシーンがあるんだけど、
心に残るようなセリフ、言い方ではなかったし、
Jesseとの冒険で外の世界を見て、
テンションがあがっているWinnieが
ついさっきまでTuck家と一緒にいたのに、
家に戻ってきて即、その水を捨てる、不老不死を選ばないという
決断を下せるとは到底思えなかった。

そして最後、バレエ締めはないでしょー。
Winnieが地元のHugoと結婚して
Nanaが亡くなって、子どもが生まれて、母親がなくなって、
子どもが結婚して、自分も死ぬという命の移り変わりを
歌は一切なく、バレエだけで表現してましてね。
劇の途中でダンスメインになるのはいいんだけど、
一番大切なテーマを歌にできなかったのかな。
しかも振付が説明的&同じことの繰り返しで退屈でした。
多少強引に締めたな、と思わせてもいいから、
歌で締めて欲しかった気がします。

ここ最近のケイシー演出&振付はtoo muchで
こういうのやれば客は喜ぶんでしょーって言われている感じがあって、
あんまり好きじゃないんだけど、
今回はSR!やアラジンほどのtoo much感はなかったけど、
何もかも説明しようとするので、
(そして笑わせるためだけの小ネタが今回もあった…)
ある程度削って、客にAha momentをくれた方が
より印象に残る作品になった気がします。
あと全体的にフラットだった。
どこか入る込めるシーンが一つでもあるとよかったんだけど。

それと最後のシーンの構成がイマイチ「?」だった。
というのも、17歳になった日にJesseがWinnieを
迎えに来るんだけど、WinnieはJesseに気づかずHugoと結婚するから、
Jesseがそっと去るというシーンがあったんだけど、
ここと最後にTuck家がまた村に戻って来るシーンの内容が
それまでとリンクしなくてね。
Winnieのお墓の前にTuck家が集まってきて、
Winnieは人生を全うしたんだねという内容のことを
Jesseがいうんだけど、「うん、知ってる」みたいな…。
客は水を捨てるのも、延々と続くバレエで死ぬところも見てるし、
Jesseも、Hugo選んだのを見た時点で、
水を飲まなかったことには気付いてたはず。
だから最後のお墓のシーンのセリフって
誰のためにあったんだろうかと思いました。

小説は久しぶりに村に戻ってきたお父さんとお母さんのみがお墓を発見して、
Winnieは水を飲まなかったことを知る、という終わり方だそうです。
この二人が水を飲むべきではないと言っていたから、
そのどっちかがWinnieの結末を言って、
安心した表情を浮かべた方腑に落ちた気がするな。
それかWinnieが水を捨てるシーンもバレエもなく、
最後にお墓と不老不死になったカエルが出てきたら、
WinnieがHugoを選んだだけじゃなくて限りある命を選んだのか、と、
とそこで初めて結末を知れた方がよかった気がします。
それまでの説明が多すぎて、こんがらがってる感じでした。

あと最後Jesseが不老不死になったカエルに気づいて愛おしそうに
抱きしめるんだけど、いや、それ、Winnieが水捨てたからだからね…みたいな。
もっとJesseのことを思っていたら、
違った形でメッセージを残したと思うのですよね。
映画はSpringがあった場所にお墓が立っているらしく、
そういう心あたたまるメッセージの残し方にして欲しかったな。

曲は悪くないんだけど、主役含めて、これだけ音が合わなくて、
しかも歌うと声がキンキン響く系の人をよく集めたな…と。
オケの編曲は割と心地良いと思ったけど、
脇役のJoeとHugoしか音が合わないもんだから、
(なんなら一番好きなのは”Hugo’s first case”だった)
他の人が歌ってるときはスイッチをオフにしていたので、
オケしか聞こえてませんでした。
上手な人が歌ったら、それなりに印象に残ったかも。

なんだろうね、この惜しさ。
ネガなことばかり書いてしまったけど、
でも絶対なんとかなったと思うのですよ。
なんかもったいない。時間とお金が足りなかったのかな。
アンサンブルがほとんど同じ衣装だったから、
資金がギリギリだったのかなーなんて思ってしまいました。
でもまだプレビューが2週間ある!! なんとかがんばってくれー。


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3 thoughts on “2016年観劇12本目:Tuck Everlasting

  1. こんにちは。かるです。
    Tuck Everlasting の感想、楽しみにしていました。

    https://www.youtube.com/watch?v=nE25kDl_L1M
    Broasway.comのリハーサル動画が良さそうなんで楽しみにしているんですが、ストーリー部分に課題があるって感じなんでしょうか。
    そこはFinding Neverlandも似た印象でした。
    全てが高いレベルでまとまっていて、さらに自分の好みにも合うという作品にはそう頻繁には出会えませんよねぇ。
    それを探すのが楽しみでもあるんですが。

    曲とそのシーンの演出が好みにあえばストーリーには多少目を潰れる人なので引き続き期待しているのですが、なんだか長続きしなさそうな雰囲気が漂っているのが心配ですw

  2. >かるさん
    コメントありがとうございます。
    ストーリーはいいので、演出とかの問題ですかねー。曲も個別に見れば悪くないのかもしれませんが、ストーリーの中だとさっぱり印象に残らなかったんですよ。あとこのEverlasting、もうちょっと上手な子が歌えば少し印象変わったかも…。私が見た日、もう音が外れっぱなしで、聞くに堪えなかったんですよね。

    お母さんの"My most beautiful day"はよかったですよ。でも最初の曲含め、他はなんか踊りがガチャガチャしていると見えたところも結構ありました。どのぐらい持ちますかねー。メザニン、半分も埋まってなかったのでちょっと心配です。でもほんと、何かすれば良くなる気がするんですよ!! 今のままではもったいない!!

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