2015年観劇52本目:Hand to God

12月23日(木)
Hand to God
Booth Theatre
H112 $18

Audience Rewardsのポイントと現金でチケットを購入し
やーっと見に行ってきました。

客席は6割程度といったところでしょうか。
1/3に閉幕し、その後ロンドン公演が始まることが決まっています。

モルモンとAvenue Qが子どもを作ったらH2G、
みたいな広告が出ていたので、
最初から最後までコメディー色が強いのかと思いきや。
ずしんと心に残る内容でした。

テキサスの小さな教会がこの物語のセッティング。
5人のmisfitsが出てくるのですが
(牧師をmisfitと呼んでいいかはちょっと迷いますが)
最近夫を亡くしたMargeryが仕切る
Christian Puppet Ministryでの、
そこに来る3人の生徒と牧師、そしてMargeryの
egoとかidについての物語です。
super egoの部分は、
この作品の場合religionとかfaithということですかね。

主人公はMargeryの息子であり、シャイでgood sonであろうとする
JasonがPuppetのTyroneを左手にはめ、
最初はパペッターとしての才能を見つけ、
これを日常のはけ口にしていたのが、
Tyroneが人格を持ち始め、Jasonを支配し、
ダークサイドに引き込んでいくという話。

最初はTyronがJasonのcrushであるジェシカに
Jasonの性的な欲求をバラしてしまうところから始まるので、
TyroneってJasonが心の奥底で思っていることの
代弁者なのね、と思いきや、
Tyroneのやりたい放題をJasonがコントロールができなくなり、
テーマもモラル、信念、信仰、欲求、欲望と深くなっていきます。
なのでAct1はブラックコメディーだわーと思ってたのが、
Act2でなんだか考えさせられる内容だったのですが、
パフォーマンスに圧倒されて
なんかしっかり考えられなかった…。
もう一度見て、しっかり内容にフォーカスしたい…。

というのも、Jason/Tyroneを演じるSteven Boyerがすごすぎてですね。
今更だけど、私は犬のAlexより彼の方がトニー賞だと思いました。
TyroneはJasonのもう一つの人格なので、
Tyroneのセリフのとき、Boyerの口が動いているのが見えるんだけど、
Tyroneのセリフを言いながらも、Jasonとしてリアクションする、
(その逆も然り)ということをやってのけます。

Avenue Qはパペットを操りつつ、
そのキャラクターと同じリアクションを
パペッターもしていたけど、Boyerはその一歩先。
シャイなJasonと荒々しいTyroneを同時に演じていて、
Act1の最後にいじめっこTimothyが自分の母親と
関係を持ったことを知り、
TyroneがTimothyの耳を噛みちぎるところなんか、
パフォーマンスがすごすぎて圧倒されました。

Act2ではTyroneに征服され、崖っぷちのJasonが
マタイによる福音書を文字通り解釈し、
腕を切り捨てようとするんだけど、
グロテスクな展開に目をつむりたくなる一方、
あくまで舞台なので映画ほどグロテスクでもなく
最終的には凝視してしまうし、
Boyerの鬼気迫るパフォから目が離せず、
なんだこの人は!! とずっと思ってました。

そしてAct2はパペットのセックスシーンも見所ですかね(笑)
というか、ここはパペットの動きが気になって、
よくセリフ聞いてなかったよ(笑)
Avenue Qを超えるめちゃリアルな動きに大爆笑です。
あ、でも、モルモンもそうだけど、
今日ちょっと宗教的な要素がコメディとして使われると、
受けいられない人も多いですよね。
私の隣にいた4人家族は、インターミッションの後帰ってきませんでした。
きっと彼らがあのセックスシーンを見たら
ひっくり返っていたんではなかろうか。

結局は母と息子が思いをぶつけ合って終わるのですが、
めでたしめでたしかと思ったら
最後にまたTyroneが出てきます。
エピローグとエピローグがTyroneによって語られるのですが、
宗教の違いがもとでの仲違いが起き、
敬虔で無垢な人が犠牲になったりしていると、
はたして信仰ってなんだろうな、と、ちょっと思ったりもしました。

それにしてもすごいパフォーマンスだった。
これは見てよかったです、ほんとに。


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