2015年観劇36本目:The Odyssey

9月4日(金)
The Odyssey
Shakespeare in the Park
O 407 with Nちゃん

そういえばこのShakespeare…シリーズの第3弾が
9月上旬にあるはずだったよなぁと思い出し、
初日にまたもやAster Placeの劇場までいって
ロトに挑戦したら当たってしまいました。
70人ぐらいいたのかな。でも2番目に当たりました。

当日Playbillの今日から始まります、っていう記事を読むまで、
大勢community memberが出る
ということは知っていたものの、
Karen OlivoやBrandon Victor Dixonが主演だということは知らず…。

だからといってテンションがあがるわけではなかったんだけど、
歌になるとやっぱり他とは違いますね。
でもcommunity memberでもこれだけ歌えるのか、
ってちょっとびっくりもしました。
シンシナティのThe Music Manと同じぐらいだったかな。
アマチュアの人たちの歌うとか演じるとかパフォーマンスする
っていう文化の厚みの違いを改めて感じました。

200人以上出演者がいるうち、
Karen(Penelope役)とBrandon(Odysseus役)、
あとこの作品でナレーターを務めていたTodd Almond、
人間を食べてしまうCyclops役のAndy Grothelueschen、
ペネロピに求婚を迫るAntinous役のLucas Caleb Rooneyのみが
Equityのメンバーだったので、
全体的に歌だったり踊りだったりに物足りなさはあったのですが、
そんなのを全部吹き飛ばしてしまうような作品構成に、
最後までワクワクしながら見ることができました。

ナレーターが状況説明をしたり、
(おかげで場面転換が多くて原作を知らないと
ちょっと置いていかれそうなところも全く問題なかった)
時には歌ったりするのですが、彼の存在感がすごくて。
キーボードを弾いたりもしていたので何者なんだ?!と思ったら
BookもMusic&LyricsもTodd氏なのですね。
できる人はなんでもできるのね。

ストーリーはHomerのThe Odysseyを元に
ミュージカル化したもので、まずIthacaの町のシーンから始まります。
ここで戦いに20年前に向かったっきり、
Odysseusが戻ってきていないことがわかり、
そろそろ夫の死を受け入れ、新しい夫を迎えるように
周りから圧力をかけられていることがわかります。

町人たちの衣装は黄色を基調とした50年代風の
ブラウス&長めのスカート、シャツ&パンツで上品な感じ。
人種構成はBlackとヒスパニック系が多くて、
whiteが少しという感じだったかな。
Karen演じるペネロペは紫のドレスで
WSSのAnikaを思い出しました。
ペネロペに求婚する不良おやじ軍団は
デニムに革ジャンというスタイル。全員Whiteでした。
彼らがでてくると暴走族のようなバイクの音を
効果音として使っていました。

場面転換し、Odysseusの勝利を他の国々もお祝いしており、
Athenaで人々が踊っているところになります。
このダンスがストリートダンス風。
ここに仲間を全て失ったOdysseusが漂流し、
Nausicaaとその息子に助けられます。
この流れ着いた人がOdysseusだと知ると、
ヒーローに会えて興奮する息子がセルフィーを撮るのですが、
ギリシャ神話ながら、衣装だったりこういう小ネタだったりが
「今」でその融合がなかなか面白かったです。
Odysseusと、Odysseusの息子のTelemachusのみ、
よく見るギリシャ神話っぽい衣装でした。

ここからOdysseusがこれまでの冒険を振り返ります。
まず人を食べてしまうという一つ目巨人のCyclopsは
目玉だけの大きな提灯で表現してしました。
ワインで酔わせて目玉を潰すのだけど、
Cyclopsが助けを求めるのに電話した先が911(笑)
でもOdysseusが自分のことを”nobody”だと名乗っているので、
nobodyにやられた、といってもさっぱり意味が通じないという
コテコテの笑いでしたが、この役を演じるAndyさんが、
全然憎めない感じのいいおじさんだったので、
必死にnobodyにやられた!!と言っている様子がかわいらしかったです。

次の冒険は妖艶な美女、Circeがいるところ。
この役もKarenがやっていて、
フラメンコ風のダンスを踊っていました。
周りで8人のグループが踊っていたんだけど、
踊りは彼女たちの方が断然うまく。
なかなか見ごたえがありました。
衣装は赤いドレスでした。

次は冥界(sprits of underground)にいくんだけど、
母親の霊にあうところで霊の役を子どもたちが演じていました。
小さい子どもたちが水色の衣装をきてでてくるんだけど、
冥界に行くと邪心がそぎ落とされて子どものようになる、
という意味なのかなーと思って見ていました。

さらに災難が立ちはだかり次は美しい声で
人々を誘惑するSirensに出くわします。
彼女たちは緑のかつらをつけ、緑のドレスでした。

そして次の災難(6つの頭を持つ珍獣と渦潮に挟まれるシーン)で
仲間を全て失ってしまうのですが、
Odysseusがここは悲しくて話せないから、と
ナレーターにこのシーンの説明を頼みます。
そこでナレーターが出てきて、何があったのかを歌うのですが、
バックに白い大きな布が出てきて、
影絵のようにOdysseusの仲間たちが何があったのかを演じていました。

順番が思い出せないのだけど、
途中youth symphonyが出てきて演奏するシーンもありました。
椅子などを用意している間、
ナレーターが客席に降りてきて
次何が起きると思う??などと聞いて回るのですが、
ここの客いじりも上手で、ほんとTodd氏の器用さは素晴らしかったです。

冒険を振り返り終わると、ナウシカアがIthacaまで
Princeが送っていくことを約束し、やっとIthacaに帰れるのですが、
20年もこの国から離れていたので、
浮浪者の振りをして町の様子を伺うことにします。
最初誰も彼に気づかず邪険な扱いを受けるのですが、
ペネロペがこの弓矢が扱える人と再婚すると宣言し、
何人か挑戦したうち、Odysseusだけがこの弓矢を扱うことができ
さらに二人しか知らないことをOdysseusが話すので
やっと夫が帰ってきたとわかり、めでたしめでたし、でした。

弓矢を引くところは子どもの鼓笛隊が出てきて、
12枚の斧を射抜くところを太鼓やシンバルで表現していて、
それもなかなか面白かったです。

と、1時間45分の中で色々な出来事があり、
場面転換がたくさんあるので、
こう書くととても煩雑に見えてしまうのですが、
どのシーンも個性があり特徴的で、
こういう多様さを表現できるのがNYっぽいなーと思ったりしました。
(ただアジア系の表現はなかったけどね…)

Brandonは一つ歌い上げる曲があったのですが、
これがとにかくすごくて。
曲の途中でもう拍手が沸き起こったぐらいでした。
その一方でときどき客席に向かってウィンクしたり、
話しかけたりとひょうきんなところもあって、
もちろんこれらも演出のうちだと思いますが、
惹きつける役者さんだなーと。
Karenは特に遊びのない役だったのですが、
相変わらず歌はかっこよかったです。
(ただ例の引退撤回騒動があってから、イマイチ好きになれないのよね…)

初日だったからか出演者の家族・関係者がいっぱいいたようで、
出てくるたびにケラケラ笑っていたり、
あそこにいるあそこにいる!!と落ち着きのない人たちも多くいたのですが、
これだけアマチュアを混ぜても完成度の高い作品が作れるだなんて、
Public Theatre恐るべしです。

こういうのを考え出せるのは素晴らしい
なーと
Todd氏と演出家に脱帽した観劇でした。


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