2015年観劇32本目:Hamilton

8月13日(木)
Hamilton
Richard Rodgers Theatre
CC113 $10

12回目のロトで当選しました。
写真や記事などを見ると、初日こそありえないほどの人がいましたが、
それ以降はモルモンの全盛期みたいな感じですかね。
でも、この日は私が見た中では一番人が少なかったです。

最前列21枚はハミルトンにちなんで$10でのオファーですが、
立ち見はなぜか4倍の$40。
立ち見もロトにエンターした人の中から選ぶのですが、
立ち見だったらいらないわ、と、
21席が埋まると帰る人も目立ちます。
そりゃそうよね。立ち見なのに$40はちょっと高いわー。
一時、立ち見席が10席に増えましたが、この日は6席に戻っていました。

私は21枚目で当選。
中途半端な1枚だったからか、センターブロックの席がもらえました。
チケットを買うと、手にこんなものを巻かれました。

転売防止ってことかな。

この日はAnthony Ramosがお休みで、
代わりにAndrew Chappelleが入ってました。
数日前にAnthonyのインタビューを読んだばっかりだったので、
いなかったのはちょっと残念でしたが、
Andrewは息子のPhilipを演っているときになかなかいい味を出してました。

LinがHamiltonをテーマにしたミュージカルを作っている、
というのは大分前から話題になっていたし、
オフでの大成功をひっさげて、満を持してのOn入り。
もうすでに来年のトニーは決まった、とも言われているぐらいです。
多くのセレブが劇場に足を運び、
オバマ大統領も見たので、だいぶ話題になっていますよね。

でもね。
正直に言います。
私はこれ、言われているほどおおっ!!とは思わなかったです。

In The Heightsはめちゃめちゃ好きだったのですよ。
劇場では聞いたことのない音楽が続き、
絶え間ない動きやダンスがあり、
そしてストーリーもぐっと来るもので、
こんなミュージカルができちゃうんだ、と、
観劇最中から「こんな作品は見たことない」と興奮しっぱなし。
来日公演があったときには親と妹もわざわざ連れて行ったほどでした。

ITHに思い入れがあるからかもしれませんが、
ITHのあの衝撃を、Hamiltonは超えませんでした。

まず全編音楽で語られるオペラタイプだったこと。
セリフはないと言ってもいいと思います。
私、個人的にこのオペラタイプがあまり好きではなく…。
さらにラップだからwordyだし、
曲で「心情」が語られるだけでなく、
ストーリーを先に進めるというか、出来事が語られる部分も多く、
アメリカの歴史をこの歌詞で知るところが多かったからか、
情報というか内容が多すぎて、
だいぶ聴くのに疲れました。
この頃の歴史とか登場人物を知っていたら、
もう少し気を抜いて観られたのかもしれないけど。
まぁでも2時間50分もある作品だから、やっぱり疲れた…。

国ができていくときのパワーを
ラップやヒップホップの勢いとか畳み掛けるような歌詞の連続で
表現するのは親和性があるんだと思うのですが、
ラップやヒップホップ以外にJazzやバラードもあるんだけど、
全編通して歌われる曲はどこかITHに似ているのが多いし、
特に女性の歌はVanessaやNinaが歌っていた音の動きに似ていて、で、
(カレンが出てくるんじゃないかと思ったぐらい)
あまり曲一つ一つに特徴がない印象を受けました。
キーになる曲は何度か同じフレーズを繰り返すので、
もちろん耳に残っている曲はいくつかあるのですよ。
なので空で歌ってみて、と言われて、歌える曲は数曲あるのですが。

そして、音痴さんが多かった…。
ラップで音がずれてるって、ちょっとした拷問ですね。
1曲目の最初に歌い始めるLeslie Odom, Jr.が結構音を外していて、
まさかこんな調子がずっと続くのか…と
不安になったのですが、予感的中でした。

choreographerもITHと同じなのですが、
もちろん作品の内容が違うので、
一つ一つの動きの意味付けが違うのはもちろんわかるのですけど、
舞台が停止している時間がないというか、
寸分の隙間にも動きを入れてくる感じが概してITHに似てる。

さらには出演者もだいぶITHと重なるから、
どうしてもITHと比較してしまうんですよね。
ITHを見ていない or OBCで見ていなければ、
ITHで味わったような、こんなミュージカルが出来上がるのか!!
という興奮があったのかもしれないのですが。
仮にITHとHamiltonが同じ年に上演されていたら、
絶対ITHに票を入れると思うのですよね。

あと個人的には主役はLinじゃない方がいいかと思いました。
周りにキャラクターの強い俳優さんがいるので、
もうちょっと演技も歌もうまい方がHamiltonの話になったと思います。
今だと、Phillipa Soo演じる嫁のElizaとか、
(夫が不倫しても、どんな境遇に直面してもHamiltonを支え続け、
Hamiltonの死後は孤児をサポートする団体を立ち上げるなど、
なんだかんだでHamiltonの一番の理解者であり
サポーターであったElizaなのですが、
一番最後のシーンもElizaで終わるので、
これは世の中が大きく変化する時代に旦那を支えた
女性を主人公にした作品か、と思ってしまうのは、
最近の大河ドラマの影響でしょうか…)
Leslie Odom, Jr.演じる、
もともとは親友でありながら政敵になり、
最後はPistol Dualでハミルトンを殺すAaron Burrとか、
Daveed Diggs演じるMarquis de Lafayette/Thomas Jeffersonの方が
印象に残ってしまうのですよね。ちょっとLinが弱い。
Aaron Burrが要職を狙いつつも、思い通りにいかないところや、
闘志を燃やす様子が、なんかジャベールを思い出しました。
彼は顔がいいので、怒りや焦りを表に出す様子が似合いますね。
ただもうちょっと歌が…。
ソロがあったんだけど、イマイチ入り込めなかった。
一方でトマス・ジェファーソンは陽気に描かれているのですが、
その様子がとても個性的というか、他の役はシリアスな様子が多かったけど、
この役が明るいのもあって、
Daveed Diggsは私の中で最も印象に残った俳優さんでした。
そして結局は、優秀な人を出自に関係なく採用し、
引き際もわかっているジョージ・ワシントンが一番素敵だよね、みたいな。

そう、ジャベールって書いて思い出したけど、
レミゼみたいな回る舞台セットを使っているのもあって、
そこもレミゼに似てるなーとも思ってました。

でもね。結構ネガなことを書きましたが、
ここは好きだな、と思ったシーンはいくつかあったのです。

まずJonathan Groff演じるKing GeorgeⅢのシーン。
3回ほどGroffが出てくるのですが、
ここだけはITHと全く被らない様子で、
しかもだいぶコメディシーンなので、いい塩梅で劇場の雰囲気を変えてくれます。
これをN2Nのお父さんがやったらもっと面白かったんだろうなーとも思うのですが、
ぐーーーっと煮詰まったところでグロフが出てきて、
劇場の雰囲気を一変させます。
グロフは音を外さないし、お口直しにはいいシーンです。
それにしてもグロフ、相変わらずのスピット具合ですね。
ロトに当選して、CC列の真ん中あたりに座ることがあれば覚悟してください。

あとAct2の最初の方にあるThomas Jeffersonとの
財政政策についての議論がプロレスのマイクパフォーマンス風になってるところ。
ラップで議論を戦わせるのですが、
Act1で散々ラップを聴いた後なので、
ラップが目新しということはなかったのですが、
政策についての議論を二人がそれぞれマイクを持って、
マイクパフォーマンス風に行っている様子がおもしろかったです。

それと、セットがほとんど変わらないし、
衣装もそう多いわけではないので、
このランニングコストの低さもまた素晴らしい(笑)
まぁ、見た目が余り変わらないから、
余計長く感じた、というのもあると思うんだけど…。

あー、なんだろ。期待値が高すぎたのか、
ITHでの衝撃が強すぎたのか。
隣のカップルがincredibleだって超大盛り上がりしてて、
なんかそこに入りたかったよ…。
今回は批評などを読まずに見に行ったんだけど、
批評を読んでどこを絶賛しているのかを読んで、
改めて違う視点で観てみたいと思います。


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