2015年観劇24本目:The Visit

6月2日(火)
The Visit
Lyceum Theatre
Mezz H9 $20 with Kさん

春の始まった作品の中で集客に苦戦しているこの作品。
5月下旬にトニーまでの2週間、
$20チケットを発売します、とアナウンスがあり
アナウンスのあった翌日に劇場でチケットを購入しました。
それでもだいぶ空席があって、
結局メザニンのセンターブロックに移動して観劇しました。

御年82歳のChita Riveraがこの舞台を最後に、
舞台のお仕事を引退すると言われていて、
それで気になっていたのですが、
お師匠様からこの作品がBway入りするまで
14年もかかってやっとここまできた、という話を聞いて、
ますます興味が湧いていました。
もともとは2001年のBway入りを目指していたそうですが、
主演の変更などもあり、2001年にシカゴ公演、
2008年にSignatureでの公演、
去年のWilliamstown Theatre Festivalでの公演を経て
やっとやっとBroadway入り、だそうです。
Signatureまでは2幕ものだったのが、
昨年のWTF版で(って略すのは良くないですな)で1幕ものになったそうです。

楽曲はJohn Kanderの曲とFred Ebbの詞。
このコンビでCabaret, Chicago, Kiss of the Spider Woman,
Curtains, The Scottsboro Boysなどを書いています。
私、結構Curtainsの楽曲好きなんですよね。

ウィーン版の「貴婦人の訪問」と原作は同じだけど、
本も楽曲も違う人が作っているので別物だと思われます。

また、オープン当初はAnton役をRoger Reesが演っていましたが
体調不良で降板し、U/Sがその役を引き継いでいます。

大金持ちのClaire Zachanassianが生まれ故郷に戻ってきて、
もともとは恋人同士、でも妊娠をきっかけに嘘の証言を行った
Antonの命と引き換えに、多額の援助を町と住民全員にすると宣言。
町人たちはそのオファーに乗るのか乗らないのか…。
まぁ、Claireが荷物を持って登場した時点で、
スーツケースと一緒に棺の箱があるので、
結末は見えているんですけどね。

ClaireとAntonの永遠の愛と、
最初はお金でそんな命を差し出すだなんて取引はできない、と
拒否する町人たちが、Antonの家族も含めて物質的な欲に負けて
最後はお金のためじゃない、正義のためだ、とか言うけど、
Antonを死に追いやる、人間の強欲さがテーマだと思います。

Claireはバトラーと側近2名とともに行動しているのですが
その3人が揃って黄色い手袋と靴を身につけています。
また町人が手に入れる「モノ」をが黄色だったり、
Antonが死んだ後渡されるお金が黄色だったり、
Claireに買われて支配されたものの象徴として黄色が使われていたのですが、
照明が暗い舞台の中で、だいぶ黄色が目立っていて、
結構毒々しく、心地悪い感じがありました。
きっとその心地の悪さが意図だったとは思うのですが、
だいぶ黄色を強調していましたね。

またClaireの周りにYoung ClaireとYoung Antonのゴーストがいて、
過去を振り返るときに彼らが歌ったり踊ったりするのですが、
ずっと舞台上にいるので、過去の関係を忘れられない
Claireが作り出した幻想なのかと思っていたら、
NY Timesの批評曰く、

二人の関係が現在も生き続けていることを象徴だそうです。
かわいらしい青年と少女だったのですが、
もう少し動きに何か特徴があれば良かったなーとも思いました。
町人に混ざって動くことがあり、
これは実在する二人なの??そうじゃないの??と、
ややわかりづらいと感じるところがありました。

楽曲はいくつか旋律がキレイなものはあったり、
側近がファルセットで歌ったりするのはおもしろかったのですが、
曲が難しいから音が外れているのか、
わざと不安定な様子を表すためにそういう音にしているのかわからないのですが、
結構不協和音なところがあって、
あー耳障りがいいなー、とは思わなかったです。
個人的にVnをやっていたので、Vnの音は気になるのですが、
前日見たFun HomeではVnの音がとてもキレイだったのに、
この作品では五線譜じゃ表せない音が多発してて、
ちょっと気持ち悪かった。

チタ様はDrood同様、歌うというより語るような歌い方でしたが、
ダンスは、あー、この人とってもキレイに魅せる人だなーってのが
実際に見られて良かったです、
チタの若い頃の踊っている映像は見たことあるけど、
Droodはほとんど踊ってなかったですもんね。
この作品ではYoung Claireと少し踊るところがあったのですが、
手の伸ばし方とか、動きが止まるところの優雅さが、
さすが!!という感じでした。
<brあ、やっぱり動きはキレイだな、と思いましたが、
そして、もうこの作品はチタの存在感が全てでしたね。
最後Antonが死んだ後、棺に入ったAntonを
妻が触ろうとしたら、He’s mineというセリフがあるんだけど、
もうあのときの強さと言ったら。
ちょっと鳥肌がたちました。

Antonはオリジナルの人だったら
もうちょっと存在感あったのかもなー。
今の人は背格好もひょろひょろっとしていて、
簡単に死にそうな感じがあったんですよね。
チタの存在感と比べるとだいぶ印象が薄く、
今でもお互い愛し合っている感じがあまりなかったです。

(あと、妻、黄色いものを身につけていたくせに
最後の裁判で手を挙げないのね。
私は最後家族も裏切るんだと思ってたんだけど、
ものだけもらっておいて、死には反対ってちょっと都合よすぎじゃない??)

こういうテーマの作品だと2幕ものは
敬遠されるのかもしれないけど、
1幕だとあまり深く掘り下がらない分、
ちょっと表面的にスーっと流れて行っちゃう感じもしました。
もうちょっと重くても良かったかなぁ…という印象。
セットチェンジがないのでランニングコストは低そうですが、
客入りがなかなか伸びないのでいつまでやるかなぁ。
と作品的にはオススメできる感じではなかったけど、
チタのパフォーマンスが見れたことは結構満足でした。
</brあ、やっぱり動きはキレイだな、と思いましたが、


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