2015年観劇23本目:Fun Home

6月1日(月)
Fun Home
Circle in the Square
SR22 $30

トニー週でイレギュラー公演になってたFun Home。
さっぱりToday Tixのロトに当たらないので、
SROをゲットして見てきました。

おととしオフで話題になり、今年オン入りのこの作品。
Alison Bechdelの同名の漫画のmemoirを元にしたミュージカルで、
ゲイのアリソン(娘)とゲイの父親との複雑な関係を
現在のアリソンが子ども時代、大学時代を行ったり来たりしながら
振り返る内容です。

オフで話題になっていたときに簡単なあらすじだけは見ていたんだけど、
2,3曲目のあとに父親の結末を先に言っちゃうとは知らず…。
自分がゲイで、父親もゲイで、父親は自殺するって
だいぶ早い段階でわかってしまうのですが、
それが先にわかってしまうことで、
この作品はその悲劇をいつ、どうやって表現するのか、
ずーっと緊張感があるまま見ていくことになりました。

この劇場は360度の空間がある劇場で、
セットを上げ下げしたり、
小道具の場所を俳優が人力で移動させることはあっても、
セットチェンジは客と俳優が向き合っている劇場に比べて、
必要最低限に抑えられている印象でした。
派手で大きなセットがあるわけじゃないので、
多くのシーンでセットにはない風景を
自分の頭の中で想像することになるのですが、
シーンを想像しつつ、
自分の小さい頃の父との記憶も思い起こされて、
心地が悪いわけじゃないんだけど、
なんだか不思議な感情を抱きながら見てました。

俳優では、Small Alisonを演じるSydney Lucasが
最年少トニーノミネート(??)とかで注目されがちですが、
私はMediumと大人アリソンを演じる二人に目を奪われました。
大人アリソンを演じるBeth Maloneさんは、
写真を見る限り普段の感じではボーイッシュだけど
女性らしい柔らかさの中に凛とした感じのある人だなーと
いう印象だったのですが、
作品の中では少し前かがみな立ち方で、
男性っぽい感じはないんだけど、中性的な雰囲気と魅力があり、
過去の自分を見ながら突っ込みを入れるところのタイミングが絶妙で、
大人アリソンが過去のアリソンを見ている佇まいが
この作品の魅力の一つだろうなーと思いました。

そしてMedium Alisonを演じるEmily Skeggsは、
作品の中ではレズであることをカムアウトする役割ですが、
かわいい雰囲気も持ち合わせつつ、
自分がレズであることに気付きながらも、
でもそれをまだ認められなくてモヤモヤしていたり、
カムアウトしたのに両親に期待した返事をもらえなくて
モヤモヤしている様子がとても印象的でした。
助演女優賞は個人的には彼女にあげたい。
Joanと寝たあとのChanging my majorは
5分近い曲をたった一人で演じるのですが、
ドラマとコメディとか混じりあった素晴らしいパフォーマンスでした。

と、二人の素晴らしい女優さんがいますが、
この作品は何と言っても父親のMichael Cerverisですね。
時々怒鳴ることはあっても、感情を大爆発させることはなく、
職業柄なのか規律正しく、完璧を求める様子や、
自分の欲するものをすっと手に入れるスマートや、
でもそのスマートさ故に、本当の自分を見せられない様子が、
とっても印象に残りました。

個人的に、このお父さんが子どもをかわいがりながらも、
その一方で甘やかすだけでなく、
自分に対しても完璧主義と同時に、
子ども相手でも妥協せず完璧を求める感じや、
それを理解されないと怒鳴るところが、
なんとなく自分の父親と重なりましてね。
父親とアリソンがお互い心の底を晒しきれない
Telephone wireなんかはかなりグッときました。

そして、お父さんが自殺したあとに3人のアリソンが歌う
Flying Awayの最後に出てくる
“Caption: Every so often, there was a rare moment
of perfect balance when I soared above him.”は
あー、あの小さいときに父親と遊んでいて
飛行機やってもらったときのあの気持ちをまさに表していて
ゾクゾクっときました。そして涙腺崩壊。

父親と息子、がメインの作品は多くあるけど、
父親と娘、という作品はあまり多くない気がします。
そのせいか、あー、お父さんを同じように見ている
(どこか畏敬の念と恐怖心がありつつも尊敬している)
人がいるんだな、っていう仲間意識(?)だったり、
父親と話をしたいなーと思ったり、
今まで劇場で体験したことのない気持ちを味わいました。

また見たいけどもうちょっと時間を空けて、
今回の気持ちを整理したいと思います。

ちなみに。
月曜だったからか俳優が多く劇場にいまして。
Kevinと会いました(笑)
トイレに並んでいるときにChadさんがいたので、
Kevinもいるだろうなーと思ったら、
Playbillをもらうときに後ろ姿のKevinを発見しました。
通路側に座ってたからからわかりやすかったよ(笑)
劇場内に他に俳優がいるか探すためにキョロキョロしていたときに
目が合ったので、多分いるってバレたっぽいのですが、
少し遠くにいたので気づいてないフリしてましたが、
せっかくなので終演後に声をかけました。
涙を流したあとの私に比べてKevinはだいぶ冷静でした(笑)


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