NY旅行-12年08月 8.30(木) Chaplin the Musical

2012/8/30 Chaplin the Musical

Ethel Barrymore Theatreで8月21日に始まったばかりだったChaplin。
実際の人物を題材にするときって、
伝記をなぞるだけになってしまっては面白くない。
リハの様子の映像から、なんとなくダンスは豪華そうと思っていましたが、
観客のツイートぐらいでしか感想が出ていなくて、
まだ良いとも悪いともどちらとも判断のつかない時期でしたが、
脚本にThe ProducersやHairsprayのThomas Meehanが入っていたので、
大きく外すことはないだろう(とめっちゃ上から目線)と思い、
しかもRushで買えるのならば、と見に行きました。

もうオープンしているので、
批評が出ていて、批評はこぞって悪かったけど(苦笑)
私は、これとても素敵な作品だと思いました。

ストーリーはチャップリンの一生。
幼少期の母ハンナとの別れから始まり、
アメリカ巡業が映画プロデューサーの目を引いてハリウッドに渡り、
そこでThe Little Trampが誕生し、映画が次々とヒットしていったこと。
異父兄のシドニーがマネージャーとして協力し、
良い条件で映画会社を渡り歩いたこと。
映画で大成功を連発する反面、
私生活でも3度の離婚を経て、そのたびに莫大な慰謝料を取られたこと。
作風から赤狩りの対象になり、国外追放されてしまったこと。
20年後にアカデミー賞表彰式に参加するために、
再びアメリカに戻ったことが2時間ちょっとの中に凝縮されていました。

衣装やセットは全てモノクロ。
最後のアカデミー賞のシーン(とフィナーレ)はカラーになりました。
なので舞台はとっても地味なんだけど、
主演のRob McClureがとても素晴らしかった。
(AveQのBway公演のラストPrinceton/Rodだった人なのですが、
確か私、この人かわいくないって、言ったことあるわw)
彼を見に行くだけでこの作品の価値があると思う。

とにかく器用ですよね。ダンスも歌も演技もぜーーんぶ素敵。
特に演技が素晴らしかった。
Chaplinが完璧主義だったり、意地になったりして、
誰かとの間に亀裂が入る(or入りそうになる)シーンも、
下手すれば、彼の「影」ばっかりが強調されるのかな、
Chaplinがいやなやつに見えてしまって、
だから転落していく人生があったんでしょ、と思わせるような
側面が出てくるのかな、と不安があったんだけど、
彼が演じると客席がChaplinを
嫌いにならないぎりぎりのところで演じてくれるので、
ネガティブな気持ちを全くChaplinに抱かせることなく
最後まで進んでいきました。
逆にChaplinが一人の人間としてすごく身近になった感じ。

あとは、ダンスシーンが華やか。
一番前で見ると全体が見えずに、ガチャガチャした
印象になってしまうことがあるけど、
これはそんなことがなかったです。
2曲ぐらいダンスのビッグナンバーがあったんだけど、
どちらも舞台に目が釘付けになりました。

ただ残念なのは歌。
もう一度聞けば、あ、こんな曲あったわ、と思いだせると思うけど、
今、空で思い出してみて、と言われても、思いだせる曲がありません…。
決して耳障りの悪い曲じゃないんだけど、印象に残らないのよねぇ。
あと過去を回想するシーンで、一度やったシーンを繰り返す手法が
何度かとられていたんだけど、これ多用するとしつこく感じてしまいますね。

でもそれ以外は本当に良かったのですよ。
地味で興行的じゃないんだけど、
久しぶりにいい舞台を見たーと思いました。
プレビュー中だったけど中だるみがなく、
完成に近いのかな、って感じたんだけど、
今は少し変わっているところがあるのかな、どうなのかな。

これはCDを聞いて、もう一度見に行きたいと思っているのですが、
あの批評を見るとどうでしょうか。
ぎりぎり年明けぐらいまでは持つかな…。

いや、でもこれはおススメです。