日曜日のマチネは2度目のThe Producers。
何でこの作品を選んだかというと、オリジナル・キャストの
Roger BartがLeo Bloom役で出ているから。
5度目のリプレイスメントだそうな。

46th stのSt.James Theatreにて。席はFの右端から2番目。
でも両サイドがいなくて、ゆっくり見れました。
そんな場所で目立ったのか、それともBox Officeのおっちゃんが
Rogerに本当に伝えてくれたのか、何度かRogerと目があったような(笑)

Max役はTony Danzaという方。
TVでとても人気のある方みたいで、最近客の入りが悪い
The Producersの起爆剤となるべく選ばれたそうです。
上の画像にはないんだけど、劇場の外にはこの写真に
「過去最高のTony Awardsをとった我々は
更にもうひとつTonyをゲットした!」というコピーが書かれていました。
どういう英語だったかすっかり忘れてしまったのが残念なんだけど、
うまいコピーだなぁと。

ただこのTonyさん。
B’wayの舞台にはたったことがあるらしいんだけど、ミュージカルは初挑戦。
オープニングナイト(というんだろうか、First Night?)以前から、
Tonyで大丈夫なの?という声があがり、
開幕後も、not horrible だの neither a revelation nor a disastar だの
「悪くはないけれども…」みたいな感想しかなくて、
ちょっと不安だったんですが、ま、その通りだったね。

まぁネイサンと比べてしまうと、誰もがそういう評価になってしまうと思うのですが、
このTonyさん、歌がイマイチなのよねー。
歌詞を台詞のように歌ったり、声にビブラートがかからなかったり…。
いやー、B’wayではじめてみたよ。ビブラートがかからない人。
そのためか、音をあまり伸ばして歌おうとしない。

でもね、やっぱりテレビで有名なだけありますよ。存在感があった。
A king of B’wayがイマイチでまずおいおいと思い、
LeoがMaxのオフィスを訪ねていくシーンで、
Tonyがなんだか一人で焦っていて、あのどたばた感があまり感じられなくて、
ほんとに大丈夫なのかな?と思ったんだけど、
Spring timeの台本を見つけるあたりから、落ち着いてきて、
二人の息があってきました。
Rogerに引っ張られてる感はあったけどね。
リオにいるLeoからの手紙を読むところで、喉に何か詰まったのか、
何度か読み直しをし、「Excuse me」と言う予想外なことが起きたんだけど、
でもこんなシーン見れてラッキーと思わせるようなカリスマ性がありました。
「Betrayed」は前述の通り、歌としてイマイチだったんだけど、
でも本当にLeoがいなくなったことを嘆いている様子が素晴らしくて、
あ、やっぱ、すごいのかなと思いました。
全体としては、圧倒的にRogerのほうがうまかったんだけど、
意外とTonyがどういう演技をしてたかってのも覚えてるんだよね。
すごい印象に残ってる。
そういうところでやはり、カリスマなのかも。

ただこの人、全然太ってなくてさ。
二重帳簿を奪い合うシーンで、Leoがfat fat fattyとMaxに言うんだけど、
このシーンをどうするのかなぁと思ったら、
Leoが初めてMaxのオフィスを尋ねるシーンで、
1940年代に見たショウの半券をまだ持っていますよというところで、
「You used to be fat」という台詞が入り、伏線を入れていました。
そこでMaxが「I never fat, I’m husky」と返す。
(huskyって日本語でよく使う声がハスキーという意味と、
大柄という意味があるようで、多分後者で使ったと思うんですが、
私はTonyさんの声が良かったので、前者かと勘違いしてました)

で、肝心の帳簿を奪いあうところでは、
「You are fat, fat, fatty! husky, husky, husky!
Gimme a fat book!」という台詞になり、最初のシーンでの伏線がここで出てきました。

で、Rogerは…といえば。

もうね、うまい。最高にうまい。歌もダンスもアドリブも。
5度目のリプレイスメントなだけあって、超余裕。
観客を笑わせるツボを知っているような感じでした。
目立ったアドリブといえば、彼は99年に
「You are a good person, Charlie Brown」というミュージカルで
Snoopy役をやっているんだけど、その遠吠えを披露してくれました。
I wanna be a producerのところで、
“I say you, you, you, not you”という台詞があるんだけど、
not youという相手は、アグリーな女性なんだけど、
その女性を見た瞬間、ウォォォォーーーーと遠吠えをひとつ。
観客もSnoopy役について知っているから、大爆笑でした。

あとは、ロジャー・デ・ブリーの屋敷でのシーン。
ソファーの上に唇型のクッションが置いてあるんだけど、
Leoがどこに手を置いたらいいのか躊躇していて、
何度も座り方を変えたり、手の位置を変えたりして、
そのポージングの仕方が面白かった。
しかも最後はその唇を手で動かして「Hi, Max!」と。
Leoってこんなに面白い人だっけ?というぐらい笑わしてくれました。

他には刑務所で囚人たちにダンスを教えるシーンで、
普通なら「独房まで聞こえる声で!」というところが
「今度は殺人者たちだけ歌って」という風に変わってました。
もしかしたら、殺人者じゃなくて他の犯罪だったかもしれないんだけど、
その単語を度忘れしてしまいました。
この台詞をいうときに、わざと客席のほうを見て、
面白いこというよーって暗示をするんだけど、その通り大爆笑でした。

あとハプニングで言えば、Ullaのダンスのところで、
Leoに白いマフラーを巻いて、それをダンスでとるところ。
Ullaのマフラーを持つ位置が悪く、マフラーが取れず、
結局Leoが自分で外した後、しばらく持ったままで、
Ullaが帰りかけたところで、秘書と受付係を頼む際に
そのマフラーを手渡してました。
で、Ullaが自分のバッグにしまってました。

昨年Hunter FosterのLeoも見たけど、
彼のほうがもう少し弱々しい感じがありましたが、
Rogerの方が断然うまかったように思います。
もう表情がころころ変わるし、声の表情もすぐ変わるし、
ずーっと彼を目で追いかけていたけど、すごかったです。
彼を見に行ってよかったと思えるぐらい。

終わった後はステージドアで待っていたんですが、
Tonyだけ出てきて、サインしてくれました。
周りの観客が素晴らしかった!とあまりに言うもんだから、
Tonyのご機嫌もよかったようで、何度も何度もありがとうと言っていました。
しかもあなたはとてもステキだったわ!といわれて、
「だってこのショウはもともとステキなショウだからね」と
謙遜していたり、なんだ、いい人なんじゃん。
ちなみにRogerは違うドアから帰ってしまったそうな。
私の目的はRogerだったんだけどな…(笑)


ところで。

RogerのLeoはマシューのよりも人気だといわれていたりするんですが、
マシューの大ファンという欲目を入れると、
それはMaxを誰が演じるかによるんじゃないかなと思ったりしました。
マシューのLeoは本当に最初、LoserでCowardでChikenなんだけど、
Maxと出会ったことによって、最後は名前の通りBloomするけど、
ネイサン以外のMaxだと、Leoはもともとできるやつじゃないか!という
印象を受けてしまうんだよね。
いいタイミングでアドリブが入ったり、面白いことを言ったり、
きっと最初のダメなLeoじゃ、そんな気の聞いたことのひとつもいえないのでは?と
いう感じなんだけど、RogerもHunterもそこらへんは軽々とやっていました。
特に今回はTonyがあまりアドリブを言わないので、
余計Rogerのアドリブが目立っていたように思います。

マシューがやるLeoの弱々しさというか、情けないっぷりっていうのは
彼特有のものだと思うし、でもRogerの実は結構器用なやつじゃんと
思わせてしまうLeoも、どっちもいいなというのが私の感想です。

特に今回はTonyをRogerが引っ張っていた感があるから、
Rogerが本当に素晴らしい!と思ったけど、
でもマシューファンとしては彼のLeoも素晴らしいと思うわけです。
あとネイサンと組んだ場合、余計なアドリブがなくても、
きっと二人の演技だけで十分おもしろいんだと思う。

なんていうのかな。
二人のLeoは同じ役で同じ台詞をいうけれども、違う人物なんですよね。
最初は情けないけどBloomするLeoか、心の奥に夢を持った実はできるLeoか。
前者のLeoはMaxによって人生が変わり、
その変わっていく中で、Maxも最高のパートナーとしてLeoを認めるし、
後者のLeoはMaxによって機会を得て、Maxをもう一度輝かせてあげる。
あとは、何度もこの作品が繰り返される中で、
あとからリプレイスメントされた人たちは、最初のマシューのLeoを
ほとんどの人たちが知っているから、そこを元に、自由に演じることができる
っていうのもあったのかなと思います。
どんどんアドリブが多くなるのも、そのためかなと。

オリジナル・キャストが全員リプレイスメントされて、
期間限定で上演したことがあったんだけど、
その時はアドリブのオンパレードだったらしいのね。
でもそれって、観客がみんなどういうショウでどういう内容で、
どういうキャラクターなのかを知っていて、アドリブがあることによって、
より笑えるというのを知っているからだと思うんだよね。

まぁ、でもRogerを見に行って本当に良かった。すごいよ、彼。
カルメンとレオを両方やれるのは彼しかいないね。
マシューは絶対カルメンできないと思うもん。
また9月からMelの作品に出るので、見に行こうと思います。


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